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“歌舞伎界のプリンス”尾上右近はカレーマニア「カレーのように誰からも好かれる存在に」

[ 2021年11月7日 05:30 ]

カレーが大好物という尾上右近(撮影・岸 良祐)
Photo By スポニチ

 【夢中論】“歌舞伎界のプリンス”として知られる尾上右近(29)は芸能界屈指のカレーマニアだ。「パワーフード」と名付け、最低1日1食、年間360回以上を食べている。そこからつくられる体は、時にあでやかな女性となり、時に荒々しい武士にもなる。「カレーのように誰からも好かれる存在になりたい」と身も心も染まっている。(吉澤 塁)

 東京・銀座の歌舞伎座の楽屋口から徒歩2分。日本最古のインド料理店「ナイルレストラン」で定番メニューの「ムルギーランチ」を注文する。

 スパイシーなルーに黄色いライス。骨付きチキンがひときわ目を引く。眼前のプレートと向き合い、黙々と口に運ぶ。辛さで顔を赤くしコクのあるうま味に心を躍らせながらも、ライスとルーを消費するペース配分は計算通りだ。水も飲まず、つけ合わせは最後にまとめて食べるのが右近流。その間、わずか8分。1時間半後に控える公演に向け、エネルギーを補給した。

 「元々スパイスや辛いものがたまらないんです。ご飯粒も大好きで、辛さとご飯との掛け合わせはカレーに勝るものがないと思っている。種類もいろいろあるので1日3食でも全然違うものを食べている感覚ですね。飽きることはありえません」

 初めて衝撃を受けたのは10歳ごろ、父・七代目清元延寿太夫(63)と同店を訪問した時だった。「“こんな食べ物があるんだ”と驚きました。それからしばらく無意識のうちによく食べていて、自分が“カレーを愛している”と気がついたのは20歳ごろですね」

 歌舞伎座が位置する銀座には名店が多い。ふらっと立ち寄った店で思わぬ発見をするのも楽しみの一つだ。最近見つけたのは老舗洋食店「あづま」。スパイシーな味付けのチキンカレーで、お店の落ち着いたレトロな雰囲気も魅力だという。

 「ナイルレストランは僕の結婚相手のようなもので不動の1位です。そして2位がニューキャッスル。でもあづまの発見で、その地位が脅かされつつある」と語りだしたら止まらない。地方公演でも土地ごとに行きつけがあり「もはや楽しみの6割を占めている」と筋金入りだ。

 体力の源でもある。「元気がある時もない時もスパイスの香りで体が温かくなる。低気圧の影響で不調だったり寝不足の時もカレーを食べれば、なりたいテンションになれますね。一定のコンディションに持っていくための食事です」

 常に日常と隣り合わせの歌舞伎とカレー。そこには共通点もある。歌舞伎は、文楽や狂言など先行芸能を取り入れて古典芸能としての一ジャンルを確立した歴史がある。近年ではアニメや漫画も取り入れた作品も好評だ。「ボーダーレスにいろいろなジャンルに食い込み自分色に染める力が歌舞伎にはある。カレーと同じですね」と分析する。

 自身も、近年は歌舞伎にとどまらずさまざまなジャンルの仕事に取り組んでいる。バラエティー番組に多数出演し、「燃えよ剣」では初の映画に挑戦。フジテレビの情報番組「めざまし8」でキャスターを務めるなど他ジャンルでの活躍も目を引く。

 「僕自身もカレーのようになりたいんですよね。だって嫌いな人なんてほとんどいない。そんな存在になれたら最強ですよね」

 一般的には浮世離れしたイメージも持たれがちな歌舞伎界。その中でも右近は、人懐っこい表情と一度見たら忘れない存在感で観客の心をつかんできた。「プリンス」と称されるゆえんだ。親しみやすさの中にピリッと際立つ個性。カレーで蓄えたエネルギーを力に変えて、どんなジャンルでも最高の“スパイス”として刺激を届け続ける。

 ≪「吉例顔見世大歌舞伎」第3部「花競忠臣顔見勢」出演中≫今月は歌舞伎座「吉例顔見世大歌舞伎」の第3部「花競忠臣顔見勢」(26日まで)に出演中だ。歌舞伎三大名作の一つ「仮名手本忠臣蔵」にまつわるエピソードを約2時間に凝縮した作品で、演出は市川猿之助(45)が手掛けている。右近は顔世御前と大鷲文吾の2役。「対比的な役なので、静と動のギャップを楽しんでほしい」と呼び掛けている。

 今作は若手俳優たちが勢ぞろいするのも大きな特徴。「共に学ぶ同世代と一緒に、この現代に忠臣蔵を届ける喜びで胸がいっぱい」と充実感をのぞかせた。ただ、同年代の俳優はライバルでもあるだけに「一緒に舞台に立つとこれ以上ない仲間意識があるが、お客さんは“どの俳優が良いかという目”でも見ている。そこは負けちゃいけないと思っている」と気を引き締めた。

 ◇尾上 右近(おのえ・うこん)1992年(平4)5月28日生まれ、東京都出身の29歳。00年に岡村研佑として初舞台。05年に新橋演舞場で二代目尾上右近を襲名する。17年に「スーパー歌舞伎2 ワンピース」に出演。清元の太夫としても活動しており、18年に清元栄寿太夫を襲名した。現在はNHK大河ドラマ「青天を衝け」に孝明天皇役で出演中。屋号は音羽屋。身長1メートル70。

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2021年11月7日のニュース