伊藤蘭 伝説の野音でソロコンサート「普通の女の子に…」から44年経て「ただいま」、28曲熱唱

[ 2021年9月27日 05:30 ]

44年ぶりに立つ日比谷野外音楽堂のステージで「春一番」を熱唱する伊藤蘭(撮影・佐久間 琴子)
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 ランちゃんが44年ぶりに、野音に帰ってきた!1970年代に一世を風靡(ふうび)した元キャンディーズのメンバーで歌手の伊藤蘭(66)が26日、東京・日比谷野外大音楽堂でソロコンサート「Beside you & fun fun Candies!野音SPECIAL」を開催した。

 伊藤が野音のステージに立つのは、「普通の女の子に戻りたい!」と突然解散を宣言した1977年7月17日以来。「ただいま野音、という気持ちでいっぱいです。あの時から気の遠くなるような時間が流れましたが、ついこの前のことのようです」と笑顔で語った。

 伊藤、藤村美樹さん(65)、田中好子さん(享年55)の3人組で72年に結成され、「食べてしまいたいほど可愛い女の子たち」という意味が込められた「キャンディーズ」。愛らしい振り付けと歌唱力に加え、ザ・ドリフターズの人気バラエティー「8時だョ!全員集合」でコントに挑戦するなど、明るいキャラを生かし幅広い年齢層から人気を博した。

 その絶頂期に6000人のファンの前で突然解散を告げ、ラストの後楽園球場公演では5万5000人を動員するなど伝説のグループとなった。伊藤は「長い人生の中のわずか4年半ですが、ミキさんとスーさんと3人で泣いたり笑ったりした時間は宝物です」と声を震わせた。

 コンサート1曲目では、自身のメンバーカラーだった真っ赤なワンピースを着用し「春一番」を熱唱。その他、ソロシングル「恋するリボルバー」やキャンディーズの「ハートのエースが出てこない」「微笑がえし」など全28曲を披露した。今年66歳を迎えたが、張りのある伸びやかな歌声と、ヒールを履いての軽やかなステップは健在。「これまで自分なりの人生を歩んでこられたのは、昔から応援してくれた皆さんの支えがあったから。これからも、もう少しだけ頑張れそうな気がしています!」と胸を張った。

 【キャンディーズ伝説】

 ▼後楽園に5万5000人 78年4月4日に行われたお別れコンサートは、女性歌手として初めて東京・後楽園球場で実施された。ファン5万5000人が詰めかけ「歌謡界史上最大のショー」と評された。肌寒さが残る中、4時間にわたり48曲を熱唱。最後に「本当に私たちは幸せでした」の名言を残した。3日後にTBSで放送された録画放送は平均視聴率32・3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録した。

 ▼「親衛隊」の元祖 75年に東京・蔵前国技館で行われた「10000人カーニバル」を機に、乱立した私設応援団をまとめる形で「全国キャンディーズ連盟(全キャン連)」が発足。一時は会員の総数が10万人超といわれた。日本初の全国組織型ファン集団で、のち一般化する「親衛隊」の原型になった。

 ▼一度も再結成せず 後楽園球場のお別れコンサート以降は一度も再結成することはなかった。これがカリスマ性を高める一つの要因となった。伊藤と故田中好子さんは80年に芸能界復帰。藤村美樹さんは83年にソロ歌手として限定的に復帰したが結婚を機に表舞台を去り、11年4月に田中さんの葬儀に参列したのが28年ぶりの公の場となった。

 ▼著名人ファンも 自民党の石破茂元幹事長は熱烈なキャンディーズファンとして知られ、田中さんが亡くなった際はコメントを発表した。伊藤の夫で俳優の水谷豊も、元々キャンディーズの大ファンだったと公言している。

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