最後の「ゆるキャラグランプリ」 陸前高田市「たかたのゆめちゃん」有終V 震災翌年から…市民に寄り添う

[ 2020年10月5日 05:30 ]

 今年で最後となるご当地キャラクター日本一決定戦「ゆるキャラグランプリ2020」は4日、岩手県滝沢市で決選投票イベントが行われ、地元の同県陸前高田市の「たかたのゆめちゃん」がご当地部門1位に輝いた。全10回で東北勢の頂点は初めて。東日本大震災が発生した2011年に始まった大会は、震災で傷ついた市民の心に光をともしてきたキャラクターの優勝で歴史に幕を閉じた。

 ご当地部門と企業・その他部門合わせて691体がエントリーした最後のゆるキャラグランプリ。華やかにドレスアップしたたかたのゆめちゃんは、1位で名前が呼ばれると10秒間かけて深々とお辞儀した。それはまるで、11年から10回を数える大会の歴史を1秒ずつかみしめるようだった。星をあしらったステッキには「ありがとう」と感謝の5文字が記されていた。

 ゆめちゃんが誕生したのは12年1月。当時、陸前高田市は津波で県内最多の約1800人の犠牲者を出してからまだ1年もたっていない状況だった。戸羽太市長(55)は、ゆるキャラを作る動きについて「市民が仮設住宅にやっと入れるかどうかという時期に“何をふざけたことをやっているんだ”と批判もあった」と振り返る。
 それでも「被災して辛抱強く我慢している子供たちに夢を与える存在が復興に欠かせない」としてゆめちゃんは活動を開始。約8年半にわたって市民との交流、子供向けの防災教室などでコツコツ支持を広げてきた。

 実行委員会によると、インターネット投票分を合わせて計28万17ポイントを獲得。実行委の西秀一郎会長(57)は「ネット投票も岩手県内から投じられた票は、ゆめちゃんに集まっていたのが特徴だった」と分析した。

 10年目の今回でイベントの歴史に幕を閉じる。理由は震災から時間がたち、五輪を開催できるほど社会が立ち直ったことが一つ。そして、不正投票疑惑など過熱競争が目立つようになり「本来は地方創生の手段のはずが勝つという目的になってしまった」(西会長)こと。

 ゆめちゃんは妖精で「ゆめキャラ」という設定。「これまで陸前高田市が歩んできた道のりを全国に知らせ、震災を知らない世代をつなぐ役割を担っていってほしい」と戸羽市長。新たな夢に向けてゆめちゃんは羽ばたく。(安田 健二)

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