池井戸潤氏「半沢直樹」に込めた思い――会社を舞台にした「チャンバラ劇」楽しんで

[ 2020年7月18日 06:45 ]

半沢直樹 令和の倍返しだ!(4)

「半沢直樹」の原作者・池井戸潤氏(撮影・三山 エリ)
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 19日にスタートするTBS日曜劇場「半沢直樹」。原作は作家池井戸潤氏(57)の半沢直樹シリーズ3作目「ロスジェネの逆襲」と、4作目「銀翼のイカロス」だ。痛快な逆転劇で読者を魅了してきた同シリーズ。諦めない不屈の男・半沢直樹に、池井戸氏はどんな思いを込めているのか。

 「今の世の中、筋を通すのが難しい時代です。正論がねじ曲がり、理不尽やウソがまかり通る。だからこそ、小説の中では、いかに相手が強大でも、それに屈せず、知恵を絞り矛盾を突いて論破する機転と強さを持つ主人公がいてほしい。読者の皆さんが一緒に悔しがり、応援したくなるキャラクターとして半沢直樹を書いています」

 ドラマ化された「下町ロケット」や「陸王」など、働く人々をドラマチックに描いた作品が多い。その主人公は愚直だったり、不器用だったり。だけど、頑張ることには労力を惜しまない。池井戸作品は、読者に「何のために働くのか」を改めて問いかけてくる。

 「誤解されやすいのですが、私は“働くこと”を書いているのではなく、エンタメを書いています」と前置きした上で、「“何のために働くのか”を考えてしまうのは、今の仕事に何か不満があるからではないでしょうか。その不満を取り除かないかぎり、迷いは消えません。半沢直樹の働き方が参考になるかどうか分かりませんが、何かのきっかけ、胸に響き、背中を押すひと言があればうれしいです」。コロナ禍の今、働き方や仕事の在り方が見直されている。正義を貫いて働く半沢の言葉は、必ず視聴者の胸に響くはずだ。

 今作の第1話を一足先に試写し、「見応えは相当なもの」と賛辞を贈る。「顔の表情、セリフの応酬など、演技合戦を見ているだけで楽しく、主役の堺雅人さんはじめ、それにふさわしい素晴らしい役者さんぞろいだと改めて思いました」と原作者としても納得の出来栄え。新キャストの市川猿之助(44)と古田新太(54)の演技にも驚かされ、「底知れない骨太の悪党ぶりで、半沢の敵役としての存在感はハンパないものがあります。悪知恵と理不尽の限りを尽くす2人に、半沢がどう“倍返し”するのか今から楽しみ」と期待を込めた。

 「オレたちバブル入行組」から続く半沢直樹シリーズは、9月17日に新刊「アルルカンと道化師」(講談社)が発売となる。自身最多のシリーズ5作目だ。「半沢直樹は会社を舞台にしたチャンバラ劇です。リアルに見えて、どこかにエンタメの面白さが隠されています。小説もドラマも、まずは物語として存分に楽しんでください」と話した。

 《新作はシリーズ原点に迫る》新刊「アルルカンと道化師」は、半沢直樹シリーズの6年ぶりの新作。1作目「オレたちバブル入行組」で、東京中央銀行大阪西支店の半沢直樹が、浅野支店長を倍返しして懲らしめたが、これよりも前のことを描く。ITベンチャー企業が、資金繰りに苦しむ老舗の美術出版社を買収したいと申し入れてきた。半沢の意向を無視して、支店長の浅野が強引に進めようとする。「何か裏がある」と半沢が動きだす。シリーズの原点と言える作品だ。

 ◆池井戸 潤(いけいど・じゅん)1963年(昭38)6月16日生まれ、岐阜県出身の57歳。慶大卒。銀行員などを経て、98年に「果つる底なき」で江戸川乱歩賞を受賞し、作家デビュー。2010年に「鉄の骨」で第31回吉川英治文学新人賞、11年に「下町ロケット」で第145回直木賞受賞。映像化された作品は「空飛ぶタイヤ」「民王」「七つの会議」など。

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