窪田正孝が明かす三池崇史監督との絆「いい距離感でずっといれたら」10年ぶりタッグの映画「初恋」は運命

[ 2020年2月28日 08:00 ]

映画「初恋」に主演、三池崇史監督と10年ぶりに本格タッグを組んだ窪田正孝(C)2020「初恋」製作委員会
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 俳優の窪田正孝(31)がバイオレンスの巨匠・三池崇史監督(59)と約10年ぶりに本格タッグを組んだ映画「初恋」は28日、全国ロードショーされる。余命わずかのボクサーがヤクザに追われる1人の少女を助けたことから裏社会の抗争に巻き込まれる姿を描く三池監督初のラブストーリー。今や名実ともにトップ俳優の仲間入りを果たし「10年後に窪田を(2008年「ケータイ捜査官7」主演に)選んだ理由が分かる」という三池監督の“予言”を証明した窪田。“恩師”との絆を語った。

 ヒロインを演じるのは、3000人のオーディションを勝ち抜いた新星・小西桜子(21)。大森南朋(48)染谷将太(27)ベッキー(35)村上淳(46)塩見三省(72)内野聖陽(51)ら豪華キャストが三池組に集結。三池監督の右腕とも言える中村雅氏がオリジナル脚本を手掛けた。

 舞台は新宿・歌舞伎町。余命いくばくもないと宣告された天涯孤独のプロボクサー・葛城レオ(窪田)はある夜、「助けて」という少女の言葉に咄嗟に反応し、追っ手の男を一撃KO。男の懐から落ちた警察手帳を拾う。少女の名前はモニカ(小西)。父親に借金を背負わされ、ヤクザの元から逃れられないという。レオが倒したのは、悪徳刑事・大伴(大森)。ヤクザの策士・加瀬(染谷)と手を組み、ヤクザの資金源となる“ブツ”を横取りしようと画策中。しかし“ブツ”を管理していた下っ端組員・ヤス(三浦貴大)が遺体で見つかり“ブツ”も消える。

 恋人・ヤスの命を奪われ、復讐の鬼と化すヤクザの女・ジュリ(ベッキー)、組の核弾頭・市川(村上)、組長代行(塩見)、刑期を終えて出所したばかりの武闘派ヤクザ・権藤(内野)、チャイニーズマフィア、警察組織が入り乱れる中、レオは欲望渦巻く“ブツ”をめぐる、ならず者たちの抗争に巻き込まれる。レオとモニカは夜明けまで逃げ切り、生き残れるのか。孤独な2つの魂が行き着く先に待ち受けるのは…。人生で最も濃密な一夜が今、幕を開けた――。

 窪田が三池監督と本格タッグを組むのは2008年4月~09年3月に放送された特撮ドラマ「ケータイ捜査官7」以来、約10年ぶり。06年の俳優デビューから間もない窪田を主演に見いだした三池監督は「10年後に窪田を選んだ理由が分かる」という言葉を残していた。

 その後、窪田はNHK連続テレビ小説「花子とアン」「デスノート」などに出演し、ブレイク。昨年はフジテレビ“月9”「ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~」初主演を務めるなど、名実ともにトップ俳優の仲間入りを果たした。三池監督の“予言”を証明するかのような頼もしい姿を今作に刻みつけ、役者としての原点とも言える“三池ワールド”に錦を飾った。

 18年、脚本の第1稿が完成するや、主人公には真っ先に窪田の名前が挙がった。三池監督からのオファーに、窪田は「10年前から今に至り、いろいろなタイミングが重なって、三池さんから話を頂くというのは『たまたま』という言葉じゃ片付けられない何かがあって。勝手に運命なのかな、と思ったりしていました。すごくうれしい反面、怖さもありましたが、エンターテイメントの力が強い台本だったので、自分のできる限りのことにチャレンジしてみたいと思いました」と即快諾した。

 米俳優ジェイク・ギレンホール(39)が無敗の世界ライトヘビー級王者を演じた映画「サウスポー」を鑑賞し「ボクサー役をやってみたいと、たまたまマネジャーに言ってたんですね。それから間もなくして、ボクサー役が来たよ、と。しかも、三池さん。運命というか、何かがシンクロした感じはありました」と役者人生初のボクサー役挑戦を振り返った。

 普段、三池監督とのやり取りは「全然ありません。連絡先も知らないですし。こういう取材の時にラブコールは送っていたんですが、なかなかお耳に届かない。難しいのかな、という思いはありました」というだけに、窪田にとっても念願の再タッグ。終盤のカーアクションはもちろん「男性の撮り方が、やっぱり格好いい。三池さんが男性を撮ると、全く違う絵(画)になるのは毎回思うところです」。18年11月下旬にクランクインした32日間の撮影で、今回も“三池マジック”を痛感した。

 自身の成長を三池監督に撮ってもらう絶好のチャンス。「その意識はすごくありましたが、10年前と違う自分を出そうとしている時点で、もう敵わないんですよね」と苦笑い。「ただ今回は相手役の桜子ちゃんが当時の自分と全く同じ立ち位置。三池さんが彼女に言っていることが、本当に10年前の自分とオーバーラップしました。当時は自分のことで精いっぱいでしたが、今回は彼女が演技しやすい、一番よく見える環境づくりを自分なりに工夫したつもりです。それが10年前との差かな、とは思います」と“座長”としての責任を果たした。

 三池監督との“関係性”も変化した。「僕はたぶん、三池さんというブランドを意識し過ぎていたんですよね。やっぱり巨匠ですし、つい自分から気付かないうちにバリアを張ってしまったこともあったと思います。それが今回は知らぬ間に解けてきて、この『初恋』という作品がどうやって生まれたのかとか、どうして映画祭に行けたのかとか、そういう過程を三池さんの方からフランクに話してくれたり。1人の対等な人間として話ができるようになったのがうれしかったですし、そこが10年前とは一番違うところだと思います」

 今作は19年5月、第72回カンヌ国際映画祭の「監督週間」選出。窪田も月9「ラジエーションハウス」の撮影を縫い、現地に渡った。

 「三池さんに質問が集中していて『世界のミイケ』を初めて目の当たりにしました。もう三池さんの視野や相手にしているマーケティングが全然違うと肌で感じました。そして、スタンディングオベーションをしてもらったり、喜びはもちろん、少し欲も出てきました。今回は監督のお名前でカンヌに呼んでもらえましたが、今度はいつか自分が三池さんを海外の映画祭に連れていけたら、と勝手に思っています。海外は程遠いものだと思っていたんですが、やっぱり日本映画の良さがある作品を作っていかないと、と実感しました。難しいという言葉で片付けたくはないですね。微力でも、三池さんのような人たちと作品を作っていく中で、世界に認められるのは一番理想的だと思います。そういう欲は出てきました」

 窪田にとって、三池監督とはどのような存在なのか。最後に再度、問い掛けた。

 「やっぱり感謝してもし切れない人、僕の役者人生に欠かせない人なのは間違いないんですが、あまり強く結び付ける言葉で表現すると、どんどん離れていってしまう気もしていて。会えば話をするし、会わなければ、それぞれの仕事をするだけ。そういう、いい距離感でずっといることが、たぶん三池さんも僕も楽だと思います。僕が言うのもおこがましいんですが、今の自分の気持ちとしては『必要とする時に呼び合える、お互い駆け付ける』みたいな、そういうスタンスでずっといれたら。今回、10年ぶりにご一緒して、それが次の目標になりました。いつか自分が三池さんを海外の映画祭に連れていけたら、というのも、その1つです」

 3月30日にスタートする次期NHK連続テレビ小説「エール」(月~土曜前8・00、土曜はダイジェスト)に主演。全国高等学校野球選手権大会の歌「栄冠は君に輝く」などで知られ、昭和の音楽史を代表する作曲家・古関裕而(こせき・ゆうじ)氏(1909~1989)をモデルにした主人公・古山裕一を演じる。昨年9月中旬にクランクイン。「朝ドラの撮影が本当に大変なのは、体験してみて身に染みました。この朝ドラを絶対に完走することが、僕の中で何よりの今年の目標です」と力強く宣言した。

 三池監督がVシネマの2トップ・哀川翔(58)竹内力(56)と組んだ「DEAD OR ALIVE 犯罪者」(1999年)に勝るとも劣らない荒唐無稽さで爆笑も誘いながら、終盤は閉店後のホームセンターを舞台にした怒涛のバトルシーン。そして、小さな恋の物語にたどり着くジェットコースターのような115分。“恩師”と生み出した極上のダークロマンス「初恋」で幕を開ける窪田の2020年。三池監督との「運命」の再会をパワーに、朝ドラの長丁場も駆け抜ける。

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