又吉 執筆業は順調も吉本興業との契約は「変えようとは思っていない」

[ 2019年10月10日 15:24 ]

最新刊「人間」発表記者会見で記者の質問に答える又吉直樹 (撮影・井上 徹) 
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 芥川賞作家で、お笑いコンビ「ピース」の又吉直樹(39)が10日、都内で最新刊「人間」(毎日出版)の発売記念記者会見に臨んだ。

 執筆業とお笑いの活動ついての配分に関連し、吉本興業との契約については「そのままにしています」とコメント。新たに導入された「専属エージェント契約」には移行していないという。同契約は、吉本興業が仕事獲得の窓口だけを担当し、マネジメントはタレント自身の責任で行うもので、闇営業騒動を受けて新たに加わった。「まだ何も話をしておりません。特に新しいやり方に変えようとは思っていないです」と従来通りの契約を続ける方針を示した。

 芸能活動について、「僕の場合は会社(吉本興業)から連絡が来て行く現場というのは芸人の仕事であったり、ライブであったり、テレビ局での収録であったり、ラジオの生放送なんですけど」と説明。「それとは別に(小説などを)書くのは自分のペースでやっていて。誰かに管理されているというのはないので、やるの、やらないのは自由」と棲み分けている。

 通常なら「週に1回くらい、何も考えない時間がつくれたら割と体力的にはもつかな」とも。「(今回の小説をめぐる)連載が終わると、追い込まれていないんで、これ以上改革してしまうと収入が心配。僕の年齢の人が、(同じ年の)他の人が働いている時間は働きたいなと思っている」と仕事のペースは堅実な様子だ。

 働き方改革についても「いろんな方のお話を聞いて、『全部100%で仕事をやると絶対に遅れるから75%くらいで進行した方が結果的にはクオリティーが上がる』という話を聞き、理屈は分かるんですけど、どうしてもそれができなくて」といい、「僕の場合は常に1回1回の原稿を、時間をかけてやるんで、どうしてもギリギリになってしまって」と話した。

 この日発売された「人間」は18年9月から今年5月まで毎日新聞夕刊で続いた連載の書籍化。「一番大変だったのは、『午後5時まで原稿を出してくれないと危ない』って時に、(1時間前の)4時くらいに仕事が終わって。もう家に帰ってたら間に合わへんから、その辺の路上に座ってパソコン開いて書いたこともありました」と苦労したエピソードを紹介。

 また「飛行機に乗る前に、待ってるときにずっと書いて、8割くらいは書けたんですけど、搭乗時刻になってしまって。乗ると2時間くらい(パソコンで書いていたら遅れなく)なってしまうんで、携帯に切り替えた」こともあった。「飛行機のドアが閉まったら電源を切らないといかんので、ドアが閉まるまでの間に、残りの2割を書いてメールで送ったというのが一番最も危なかった、ドキドキしたことでしたね」と振り返った。

 「火花」で第153回芥川賞を受けてから約4年3カ月。映画化されて来年公開となる「劇場」に続く第3弾は、又吉にとって初の長編小説。「時間をかけて書いた小説です。一番、自分に近い小説なんじゃないかな」と内容を強調した。

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2019年10月10日のニュース