ボツ再録

[ 2019年6月2日 08:00 ]

完走した渡辺王将
Photo By スポニチ

 【我満晴朗 こう見えても新人類】普段取材している将棋の世界は典型的な室内競技。だからだろうか、棋士からはアウトドアのイメージが湧きにくいのだが、意外にもランニングを趣味にしている先生方は結構いる。

 例えば久保利明九段や木村一基九段。久保九段は体重が増えると正座がきつくなるという理由で走り始めたのだとか。

 その久保から王将位を奪還した渡辺明2冠も愛好家。開始時期は「大人になったころですか、そう20歳前後です」という。高校在学時は体育の授業でいやでも体を動かさざるを得ない。卒業後は将棋一本の生活となり、運動する機会が極端に減った。そのため体調維持をかねて走りだしたのがきっかけ。現在は都内の自宅周辺に3キロ、6キロ、10キロの3コースを設定し、暇を見つけてはマメに走行している。ペースは1キロ7分で「真冬以外は結構走ってますよ」。

 そんなバックグラウンドもあり、5月26日に山梨県で行われたスポニチ山中湖ロードレース・山中湖1周の部(13・6キロ)に初出場。「最長10キロを経験しているので、プラス3・6キロは何とかなるでしょう」と事前取材で話したものの、筆者はそれとなく心配していた。

 途中でケガでもしたら大変だ。仮に足を痛めて正座が出来ないとなると、対局にも支障が生じる。6月4日からは豊島将之3冠と棋聖戦5番勝負に挑まなければならない。変に無理するならリタイアする方がいいかも…。

 などと思い悩んだのは完全に杞憂(きゆう)に終わった。スタートから1時間40分50秒後、涼しい顔をしてゴール。「最後は余裕でした」とコメントしたから驚いた。スタートでの渋滞時間(4分41秒)を間引いた正式タイムは1時間36分09秒。15年間コツコツと走り続けた成果なのだろう。

 そんな王将のゴールを写真に収めようと、一眼レフに200ミリズームレンズを装着して待ち構えていた。ところが到着想定時刻になってびっくり。ランナーたちが次から次へと五月雨のようになだれ込むので、ターゲットがどこにいるのが全く分からない。
 必死になってファインダーをのぞく。あっ来たとシャッターを切っても別人だったりする。もうだめかと諦めかけた瞬間、なんと奇跡的にご本人を発見! ここぞとばかりに連写したが、他の参加者と見事にかぶってしまった。

 現場で王将にモニターを見せたら「これじゃあ(新聞に)使えないでしょ」と冷たい一言。「いや使いますから」と強引に送稿したら、やっぱり不採用だった。悔しいので紙面じゃなくてこのコラム用に掲載します。それにしても重いカメラを手に立ちっ放しでほとほと疲れた。対局取材の方が楽だなあ。(専門委員)

続きを表示

「美脚」特集記事

「騒動特集」特集記事

2019年6月2日のニュース