「科捜研」「特捜」「緊取」…テレ朝の刑事ドラマが好調な理由

[ 2019年5月13日 14:00 ]

沢口靖子=㊧から2人目=ら「科捜研の女」の出演者
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 4月から始まったテレビ朝日の刑事ドラマが好調を維持している。V6の井ノ原快彦(42)が主演する「特捜9 season2」(水曜後9・00)と、天海祐希(51)主演の「緊急取調室」(木曜後9・00)は、いずれも第5話を終えて平均視聴率が2桁(ビデオリサーチ調べ、関東地区)をキープ。沢口靖子(52)主演の「科捜研の女」(水曜後8・00)も4週連続で2桁(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を維持し、失速する気配はない。

 「特捜9」は、テレ朝が「相棒」シリーズなどで刑事ドラマを長年定着させてきた看板枠。2017年3月に亡くなった渡瀬恒彦さん(享年72)が主演し、season12まで続いた「警視庁捜査一課9係」がベースになっている。一度解散した「9係」の同じ刑事たちで特別捜査班を組んだ設定で、井ノ原が主演に"昇格"。昨年4月期に放送されたseason1は初回から最終回まで一度も2桁を割ることなく、今回の続編も受け継いでいる。

 「緊急取調室」は2014年から断続的に放送され、2年ぶり3季目。容疑者を追い詰めて逮捕するまでを描く多くの刑事ドラマとは違い、逮捕後の取調室で追及するシーンなどが見どころになっている。密室で、どんな心理戦などが繰り広げられているのか。本来なら捜査関係者にしか分からない部分に焦点を当て、脚本や出演者の演技力で視聴者をひきつけている。

 専門家にしか分からないことを描いて、受けている点では「科捜研の女」も同じ。科学捜査や法医学など、難解そうに見えて敬遠されがちだったテーマを分かりやすくドラマチックに解説して、長年の演出パターンを定着させてきた。1999年の開始から第19弾となる今回は、シリーズ20周年とテレ朝開局60周年を記念している。来年3月まで1年間続く、番組開始以来初のロングラン放送となる。かつての放送回では斬新に見えた「生体認証システム」や、ドローンを駆使した捜査などは、今や当たり前のように登場。科学捜査の進化も感じさせる。

 そもそも、テレ朝の番組編成について、テレビ業界では「F3層(女性50歳以上)を重要視している」との見方がある。40代を過ぎてくると、家庭で過ごす時間が30代までよりは長くなりがちで、テレビの視聴習慣も根付く。ゴールデンタイム(午後7~10時)にテレビを観る層は40代後半が7割を占めるとされ、若年層のテレビ離れが進む現代では、F3層の取り込みは必要不可欠。そこを確実に抑えて、結果を出している。

 同局は1977年から続いた「土曜サスペンス劇場」を終了して2年になる。過去40年間のラインナップには、「相棒」「警視庁・捜査一課長」など、後に連続ドラマ化され、看板となった番組も複数ある。近年の刑事ドラマ人気は、「『2時間サスペンス』ロス」に陥った視聴者が支えているとの意見もある。

 ただ、「土曜サスペンス劇場」が終わるころは、視聴者のミステリーに対する視点が厳しくなり、「真犯人を演じる俳優がいつも同じ」「トリックを簡単に見破れた」「開始早々に真犯人が分かった」などの声も聞かれるようになった。"捜査モノ"ドラマの場合は、視聴者が簡単には真相などを見破れないように、有識者ならではの専門要素が必要とされ、その監修力は各局番組の視聴率を左右する。各局とも刑事ドラマの監修には、警視庁や科学捜査研究所などで勤務経験のあるOBらを迎えて、番組のリアリティーを高めている。

 一方でリアルさ追求しすぎると、1時間ドラマならではエンターテインメント性は薄れてしまう。監修と、脚本のバランスもまた視聴率の分岐点となる。こうしたバランスの舵取りでもテレ朝は安定感を見せる。

 いずれにせよ、「科捜研」「特捜」「緊急取調室」は今回が初出しのドラマではない。いずれも時間をかけて固定ファンを増やし、視聴者から信頼を得てきた番組だ。Season17まで達した「相棒」シリーズもそうで、地道に視聴習慣を根付かせてきたことが奏功している。

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