来年大河「いだてん」脚本の宮藤官九郎 主人公2人の魅力共通「かわいげ」勘九郎&サダヲに全幅の信頼 

[ 2018年12月17日 06:00 ]

宮藤官九郎氏インタビュー(中)

来年の大河ドラマ「いだてん〜東京オリムピック噺(ばなし)〜」を手掛ける脚本家の宮藤官九郎氏(C)NHK
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 脚本家の宮藤官九郎氏(48)が来年のNHK大河ドラマ「いだてん〜東京オリムピック噺(ばなし)〜」(1月6日スタート、日曜後8・00)でオリジナル作品を執筆。1986年「いのち」以来33年ぶりとなる“近現代大河”に挑む。オリンピックに初参加した男・金栗四三とオリンピックを呼んだ男・田畑政治の2人の主人公、金栗役の歌舞伎俳優・中村勘九郎(37)と田畑役の俳優・阿部サダヲ(48)の2人の主演について、その魅力などを宮藤氏に聞いた。

 大河ドラマ58作目。2013年前期のNHK連続テレビ小説「あまちゃん」で社会現象を巻き起こした宮藤氏が大河ドラマの脚本を初担当。20年の東京五輪を控え、テーマは「“東京”と“オリンピック”」。日本が五輪に初参加した1912年のストックホルム大会から64年の東京五輪まで、日本の激動の半世紀を描く。

 勘九郎と阿部がダブル主演。勘九郎は「日本のマラソンの父」と称され、ストックホルム大会に日本人として五輪に初参加した金栗四三(かなくり・しそう)を、阿部は水泳の前畑秀子らを見いだした名伯楽で64年の東京大会招致の立役者となった新聞記者・田畑政治(まさじ)を演じる。

 金栗の魅力について、宮藤氏は「僕は勝ち進んでいく人や上り詰めていく人にはあまり興味がなく、目標を達成できなかった人の方にやっぱり親近感が湧くんです。そういう目線でドラマを作る時、みんなの期待を背負ってストックホルムに行って走ったのに、大惨敗してしまったとか、金栗さんに凄く人間味を感じました」と説明。

 「あと、結婚したのに新妻(春野スヤ)は故郷の熊本に残して自分はずっと東京にいて、どうして夫婦一緒に暮らさないんだろう?と。その割には子どもがいっぱい(6人)いるとか、おもしろいところはいっぱいあります。やる気のない選手を蹴っ飛ばしたり、ただのいい人じゃないところも凄く好きです」と笑いを誘い、金栗のエピソードを紹介した。

 一方、田畑については「オリンピックを日本に呼んだ人なのに、実際に何をしたのか、ほとんど資料が残っていない。よくよく調べたら、東京オリンピック開催の前に、口が災いして最終的に大事なポストから降ろされたらしいんです。これはおもしろいと思いました」と明かし「(1964年の東京オリンピックにつなげるため)後半は田畑さんにバトンを渡す形にしよう」と93〜94年「炎立つ」、00年「葵 徳川三代」以来19年ぶり3度目の主演リレーが実現した。

 勘九郎とは09年12月に東京・歌舞伎座で上演された新作歌舞伎「大江戸りびんぐでっど」(脚本・演出)、12年6〜7月に東京・シアターコクーンで上演されたコクーン歌舞伎「天日坊」(脚本)でタッグ。「勘九郎君は凄くダイナミックなお芝居をする人。今回も期待しているんですが、シーンの断片を見ると、かわいい部分もあります。金栗さんって、かわいい人だと思うんです。かわいくなかったら、許せないですよね(笑)。人にお金出してもらったりとか、思い付きだけでいろいろなことをしたりとか、日本中走ったりとか、実際あまり働いていないっぽいですし(笑)。かわいげがないと、この主人公のことは好きになれないかもしれないと思っていたので、断片ですが、勘九郎君のお芝居を見た時、熊本弁も含めて『ああ、いいな』と思いました」と太鼓判を押した。

 阿部とは旗揚げ30周年を迎えた人気劇団の「大人計画」にともに在籍。「田畑さんの話と、周りの人が田畑さんのことを語っている話が割と食い違っているんです。自分でこういうふうにしていたつもりなんでしょうが、周りからはそう見えていないみたいな。でも、田畑さんが側にいると何してあげたくなるような、みんなに愛されるキャラクター。田畑さんの肉声を聞いたことはないんですが、残っている資料によると『あれ』とか『それ』とかばかりで基本的に何を言っているのか分からない上に、字が汚いという(笑)。阿部君ならピッタリだと思いました(笑)」と旧知の間柄ゆえのコメント。

 「田畑さんのテンションと勢いだけは伝わってくるから、この人のために何かしてあげたいと思うんですが、結局あの人さっき何言っていたんだっけ?みたいな。田畑さんも、かわいくないと許されない人。やはり人からお金を借りたりしているんですが、この人に言われたら貸したくなっちゃうみたいな。上司にもかわいがられたと資料に書いてあったり。大体いつもそうなんですが、阿部君には何の説明もなく演じてもらって、どうなるかというおもしろさがあるので、楽しみにしています」。金栗と同じ“かわいげ”というキーワードが飛び出した。

 勘九郎と阿部へのアドバイスは「一切、していないですね。セットを見に行った時、2人がいたので、ちょっとだけ芝居を見たんですが、『ああ、もう大丈夫だ』と思いました。勘九郎君は今、(役作りのため鍛えている)肉体が凄い。自分より運動神経が凄い人に何も言うことはないので『ケガしないように気を付けてください』とだけ。阿部君には撮影の何日か前に『何か日本泳法で泳ぐらしいよ』とだけ。阿部君は『知らなかった』とビックリしていましたが、それぐらいです。(演技の)悩みがあっても、僕のところには相談は来ないと思います。2人とも真面目だから、自分なりの金栗さん、自分なりの田畑さんをどうやって演じるか考えていますから。僕の思いは全部台本に書いているつもりなので、2人なら大丈夫です」と全幅の信頼を置いている。

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