来年大河「いだてん」脚本の宮藤官九郎「怒られずに」長丁場なんの「尺足りない」3月まで?日8団らん意識
宮藤官九郎氏インタビュー(上)
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脚本家の宮藤官九郎氏(48)が来年のNHK大河ドラマ「いだてん〜東京オリムピック噺(ばなし)〜」(1月6日スタート、日曜後8・00)でオリジナル作品を執筆。1986年「いのち」以来33年ぶりとなる“近現代大河”に挑む。2013年前期の連続テレビ小説「あまちゃん」で社会現象を巻き起こした宮藤氏。朝ドラとともに国民的な注目を集める大河脚本を初めて手掛ける心境、自身初となる実在のモデルがいるドラマの苦労、朝ドラに続く長丁場の執筆への心構えなどを聞いた。
20年の東京五輪を控え、テーマは「“東京”と“オリンピック”」。日本が五輪に初参加した1912年のストックホルム大会から64年の東京五輪まで、日本の激動の半世紀を描く。
歌舞伎俳優の中村勘九郎(37)と俳優の阿部サダヲ(48)がダブル主演。勘九郎は「日本のマラソンの父」と称され、ストックホルム大会に日本人として五輪に初参加した金栗四三(かなくり・しそう)、阿部は水泳の前畑秀子らを見いだした名伯楽で64年の東京大会招致の立役者となった新聞記者・田畑政治(まさじ)を演じる。
「あまちゃん」でタッグを組んだ制作統括の訓覇圭チーフプロデューサーと「また何かおもしろいことを」と新企画を練り始め、当初は大河ドラマという枠やオリンピックという題材は前提にしていなかった。結果的に今作の語りに据えることになったが、宮藤氏は「昭和の大名人」と呼ばれる落語家・古今亭志ん生(1890〜1973)の人生に、訓覇氏は20年の東京五輪を前にスポーツを題材にしたドラマなどに興味を持っていた。これらが次第に形となり、17年4月、タイトルと主人公&主演の2人が発表された。この時、訓覇氏は「宮藤さんと『大河ドラマで、オリンピックってありますかね?』と最初に雑談したのは、2年半ほど前(14年10月)のこと」とコメントしている。
「これ、大河になりますかね」というスタートから「大河になるのか?これは」「こんな大河ドラマはないですよね」という心境の変化を経て、正式決定の際の率直な気持ちを問われると、宮藤氏は「1年間、どうやって怒られずにやっていこうかということが一番。だいたい、大河ドラマって作者が怒られるじゃないですか。史実と違うとか。そういうことをいかに言われずに1年間やり過ごそうかと思いました。今のところは大丈夫だと思うんですが、この先、何か言われることがあったら、嫌ですね。率直な感想はそれです」と笑いを誘った。
それでも「今までの大河ドラマだと、例えば合戦のシーンとか討ち入りのシーンとか、この人を描くなら絶対この場面という、視聴者の皆さんがイメージするものがあるじゃないですか。それが今回はないんです。ないというのは悪い意味じゃなく、その代わりにオリンピックがあって、陸上があったり水泳があったり、国と国との戦いをスポーツで見せるということが、最初に予想していたより、大河ドラマっぽいんじゃないかと思っています。だから、大丈夫じゃないかと。道を踏み外さないように最後まで頑張りたいと思います」と手応えも示した。
制作統括の訓覇氏は宮藤氏について「(頭の)容量が凄いです。自分がバイトとしたら、宮藤さんはギガバイト。原作があるわけじゃないので、スタッフが取材した膨大な情報を毎週毎週、宮藤さんと共有しているんですが、それを理解するだけで大変なことなのに、おもしろく構成される。まだ途中ですが、47話分ですからね。宮藤さんの頭のよさは日々感じています」と実感を込めた。
それを聞いた宮藤氏は「容量が大きい?いや、正直いっぱいいっぱいです。金栗さんの時代は資料が残っていないところもあるので、フィクションも盛り込めるんですが、田畑さんの時代になると、大概のものが残っているんですよね。今まさに書いているロサンゼルス五輪(1932年)なんかは、その日、何を食べたかまで分かっています。そうなるとウソがつけなくなるので、これからは情報を入れていくというより、何を捨てていくかという作業になる感じはします」と史実と格闘していることを明かした。
それは“自身初となる実在のモデルがいるドラマ”にもつながり「整合性が合わないところがどうしても出てきちゃいます。この時、金栗さんには熊本じゃなく東京にいてほしいのに、なかなか上京してこないとか。(史実の)年表と物語の辻褄を自分でマイナスには考えたくないので、おもしろい理由を考えればいい、創作が入り込む隙があると楽しく書いています。そこが『あまちゃん』と一番大きく違う点です。実在のモデルがいることのメリットは何かということを毎回考えています」と刺激を受け、筆が乗る。
朝ドラに続く長丁場の執筆になるが「たぶん文字数、書く分量だと朝ドラの方が多いと思います。朝ドラは1日や2日見逃しても分かるようにしないといけないので、1話たりとも欠かせないというよりは、何も起こらない回もあったりして、おもしろいなぁと思って作っていたので、割と気楽に書いていました。大河も長いですが、毎回トピックがあって、ネタに困ることはなさそうなので、実はそんなに深刻にはなっていません」と心配なさげ。「逆に今、もうどうしようかと思っているのは、尺が足りないんじゃないかと。(19年12月までの放送ではなく、20年)3月ぐらいまでやらせてくらないかなぁと。そうしないと、最初に予定していたネタが入らないんじゃないかという不安の方が今、勝っています」と放送延長を望むほど、盛りだくさんの内容になりそうだ。
「ただ、やっぱり朝ドラと大河ドラマは見る習慣が全然違いますよね。うちの家族のことだけで言うと、朝ドラは朝ごはんを食べながら何となくテレビがついていて、みんなワサワサ動いている中で見るもの。大河ドラマはちゃんとお風呂に入ってから、お茶を入れて、こたつの前にスタンバイして見るものでした。その辺の感覚は意識しています」と日曜夜8時の一家団らんをイメージ。宮藤氏が紡ぐ新しい大河ドラマに期待は高まる。
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