【パルムドール是枝裕和監督と一問一答】「覚悟新た」燃え尽き症候群なく笑顔「企画が通りやすく」
フランス南部で開催されていた第71回カンヌ国際映画祭の授賞式が19日夜(日本時間20日未明)に行われ、コンペティション部門に日本から出品された是枝裕和監督(55)の長編14作目となる最新作「万引き家族」(6月8日公開)が最高賞「パルムドール」を受賞した。日本作品としては、1954年の衣笠貞之助監督「地獄門」、80年の黒澤明監督「影武者」、今村昌平監督の83年「楢山節考」、97年「うなぎ」に続く21年ぶり5作品目の快挙となった。
授賞式後、会見した是枝監督との主な一問一答は以下の通り。
――受賞が決まり、ステージに上がった時の気持ちは?
「あまり緊張するタイプではないですが、珍しく緊張していたので、とりあえず通訳している間にしゃべることを考えていました」
――受賞の名前が次々と呼ばれていく中で、どんな気持ちだったか?
「発表される順番が毎年違うので、気が付いたらグランプリとパルムドールしか残っていなかった。残っている監督が誰かもはっきり分からなくなっていて、でも周りがザワザワしてきたので、不安な気持ちもありつつという感じでした」
――今、感じていることは?
「(トロフィーが)すごい重いです。ずっとトロフィーを持ち続けているので腕がガチガチなんですが、これを頂くというのは、監督として本当に重い出来事で、この先、この賞をもらった監督として恥ずかしくない作品をまた作らなければならないなという覚悟を新たにしています」
――映画を通して社会へ伝えるメッセージは必要かどうか?
「あまり社会に対するメッセージを伝える為に映画を撮ったことはないですし、それは正しい形ではないなと思っているので、僕が描いた家族とどう向き合って、見過ごしてしまうような環境だったり、感情だったりをどう丁寧に掬い取るかということだけを考えようと思いました。でも、それはいつもやっていることなので、そこからどんなメッセージを受け取るかは僕が発するのではなく、受け取る側が決めることなんじゃないかなと、いつも思いながら作っています」
――世界共通でこの作品の持つ普遍的な思いが通じたと感じるか?
「公式上映の時のリアクションも本当に温かったんですけど、その後の取材に来る記者の方たちも言葉の中に「TOUCH」と「LOVE」という言葉がすごいあふれていて、ちゃんと届きたいところに届いたのかなという思いではいました。表面上の犯罪を犯している家族の話であるとか、今の日本の社会状況がどうとかということの奥に、やはり父になろうとすること、母になろうとすることという、普遍性みたいなものを受け止めてくれたから、そういう言葉が出たのかなとは思っていたので、そのことはとてもうれしく思っていました」
――審査委員長のケイト・ブランシェットが閉会式で「invisible people(見えない人々)」というのが今回大きなテーマだと言っていた。「万引き家族」が最もそのテーマに当てはまると言えるが、それについてはどう思うか。
「『誰も知らない』の時にも、社会から見えなくなっている子供たちをどう可視化するかということを考えながら撮った映画だったんですが、今回もスタンスとしては同じなので、やはりそれを見過ごしてしまう、もしくは目をそむけてしまいがちの人々をどう可視化するかということが、すべてとは言いませんが、僕自身は映画を作る上では常に自分の中心においているスタンスだったりもするので、今回はかなりストレートに反映された映画だったというのは間違いなく思っています。ブランシェットさんの言葉はすごくうれしく聞きました」
――日本にいるキャストとは話したか?
「今、この状況でLINEのやり取りをしていて、合間にちょっとずつ写真を送ったり、まだちょっとバタバタしていて『おめでとう』『素晴らしい』ぐらいの会話しか交わせていないです」
――是枝監督にとってパルムドールとは?
「悲願ってよく新聞に書かれていたんですけど、言ったことは一度もなくて…。賞というのは目標にするものではないといつも思っています。この場所に来て、クロージングセレモニーに立てるということはとても光栄なことですし、ましてや最高賞を頂くというのは、僕自身のキャリアにとっても大きなステップアップとなるでしょうし、これであと20年くらいは作りたいなという勇気をもらった気がします」
――自分はベネチアに認められたと、ようやくカンヌにお帰りと言ってもらえるようになったと仰っていたが、これで名実ともに「カンヌの是枝」になったと思うが、そのことについてどう思うか?
「(自分を)発見していただいたのはベネチア(映画祭)ですし、ずっと育てていただいたのはカンヌなのかなと思います。良い映画祭というのは、作り手を育てる場所だなと思うので、僕は(カンヌに)7回呼んでいただいて、評価を頂いた回もあれば、そうでない回ももちろんありますけど、どの回もとても貴重な経験をさせてもらってます。今回は残念ながら授賞会場にはいらっしゃいませんでしたが、韓国のイ・チャンドン(『Burning』でコンペ出品)と中国のジャ・ジャンクー(『Ash Is Purest White』でコンペ出品)という同時代にすごく強い作家がいて、彼らと同じ時代に映画をつくれて、お互いにお互いの作品を認め合いながら、刺激し合いながら、この場に来られているというのはとても恵まれているなと思いますし、彼らがいるから僕も頑張ってつくれているし、彼らの映画との向き合い方がすごく僕に刺激を与えてくれているというのはすごく感じています。そういう監督たちとここで出会って再会して、肩を叩き合ってまた自分の映画つくりの現場に戻るというのは、ひとつ大きなイベントとして思っています」
――受賞スピーチの際に「ここを目指す若い映画の作り手たちとも分かち合いたい」と仰っていたが、改めてそういう方たちへのメッセージがあれば。
「華やかな場所だからここが素晴らしいわけではなくて、自分がやっている映画というものが世界とつながっていて、映画の奥深さや歴史というものに触れられるとても良い経験ができると思います。どんどん若い人たちも目指すべきだというのはおこがましいかもしれませんが、それは監督も役者も同じく、経験すると恐らく何か捉え方が変わるので、そういう意味でも自分も周りにいる若手の監督の卵の子たちをできるだけここに来られるようにしているし、これからもそうしたいと思っています」
――今後、どういう映画に挑戦したいか?
「口にするとなかなか実現しないものですから、あまりしゃべらないようにしているんですが、いろいろ一緒に映画を作らないかと言ってくれる方たちが日本の外にいらっしゃるので、海外の役者たちと一緒に映画を作るというチャレンジに向かってみようかなとここ数年思っています」
――一緒にやりたい役者、スタッフはいるか?
「こういう映画祭でお会いして、いつか一緒にやりましょうねって言っていただけるのはだいたい役者さんが多いので、そういった交流の中で次の企画の種を撒いているところですけど、実現するといいなと思っています」
――帰国してやってみたいことは?
「リリーさんとかサクラさんと子供たちも含め、トロフィーを持って会えるといいなと思っています」
――樹木さんは何と仰ると思うか?
「天狗にならないように(笑)」
――受賞したことで燃え尽き症候群になってしまうなどの心配はあるか?
「全然そんな心配はしていないですね。目指していないというとカッコよすぎるかもしれませんけど、これで映画の企画が通りやすくなるなと(笑)。むしろこの先、どういう風に自分で撮りたいものを実現していくか、この賞はそういうところでのエネルギーにはなるなと思っています」
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