「アンナチュラル」野木ワールドの魅力はテンポ P明かす自然な脚本の裏側…白板2枚が真っ黒

[ 2018年2月16日 09:00 ]

「アンナチュラル」に出演する(左から)松重豊、井浦新、石原さとみ、窪田正孝、市川実日子(C)TBS
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 石原さとみ主演のTBS金曜ドラマ「アンナチュラル」(金曜後10・00)は、「逃げるは恥だが役に立つ」(16年)を大ヒットさせた野木亜紀子氏が脚本を務める一話完結型の法医学ミステリー。数多くの人気作が生まれている“法医学ドラマ”の中でも、異色と言われるストーリー展開で人気を博している脚本の魅力を本ドラマの新井順子プロデューサーに聞いた。

 ◆猛勉強の賜物 専門家認める“自然”な脚本が与えるリアリティ

 野木氏とは初タッグとなる新井プロデューサー。野木氏の印象を問うと「すごく勉強をなさっている」と第一声。野木氏、新井プロデューサーともに法医学ドラマを手掛けるのは今回が初めて。医学、感染症、臨床、法律などさまざまな分野の専門家に取材をして、物語を作り上げるためには、月並みの勉強では追いつかないという。「(野木氏は)大きなかばんを常に持っていて、『何が入っているのだろう』と思っていたら、大量の資料が詰め込まれていて、それに付箋がたくさんついていました」と“猛勉強”の跡を目撃し、「勉強なさっているな、と思いました」と感嘆したことを明かした。

 初回放送では国内でまだ発症例のない「MERSコロナウイルス」の院内感染を扱った。2話、3話は同じ殺人事件でも凍死、出血性ショックと死因は全く異なる。4話は過労死、5話は溺死と、さまざまな死因を取り上げることで、視聴者を飽きさせない。「取材を受けてくださった専門家の方もドラマを見て、『素晴らしい』『取材を受けて良かった』と言ってくださります。(他のドラマでは)『リアルとは違うじゃないか』と言われることもあるんですけど…」と取材に応じた専門家も認める野木氏の自然な脚本がドラマにリアリティを与えている。

 ◆野木脚本の魅力は「テンポ」 打ち合わせでは白板2面が真っ黒に

 野木氏の脚本の魅力については「展開の早さもしかり、会話もそうですけど、やはりテンポの良さです」と即答。「死を取り扱うドラマでは、どうしても暗いイメージが生まれてしまいますが、それを払拭するために矢継ぎ早にセリフを盛り込んでいます。主要キャストの5人が集まった時のセリフの軽快さは目を見張るものがあります。テンポが魅力的ですね」と、「逃げ恥」でも視聴者を虜にした“野木ワールド”を分析した。

 漫画原作だった「逃げ恥」とは違い、今作はオリジナル脚本。新井プロデューサーは「答えが決まってはいないので、逆に自由にできる部分はある」としつつも、「野木さんはとても大変だと思います」とポツリ。「打ち合わせの時、部屋に2面のホワイトボードがあったんですが、真っ黒になっていました」と明かし、「『これで行こう』と打ち合わせが終わって、実際に台本を書いてみたら、『何かが違う』となってしまって。昨日の打ち合わせはなかったことに…なんてこともありました」と苦笑いで述懐した。

 「アンナチュラル」の見どころを問うと「予想がつかない展開」を挙げ、「王道スタイルだけではなくて、『こう来たか』という変化球もある。きれいにまとめすぎず、思っていた通りにはならない展開を楽しんでいただければ」と説明。9日放送の5話では、殺人の被害者の恋人が、犯人に復讐する衝撃的なシーンが話題を呼んだ。6話以降も視聴者の想像をはるかに超える野木脚本に注目が集まる。

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2018年2月16日のニュース