羽生永世7冠に国民栄誉賞検討 会見の日に吉報「感慨深い」

[ 2017年12月14日 05:30 ]

会見中に何度も笑顔を見せる羽生永世七冠
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 政府は13日、将棋の羽生善治竜王(47)に国民栄誉賞を授与する方向で検討に入ったことを明らかにした。羽生は5日の竜王戦第5局で4勝目を挙げ、史上初の永世7冠資格を獲得したばかり。前人未到の快挙が国民に感動・勇気を与えたと評価された。羽生と同時に囲碁の井山裕太7冠(28)も候補となっており、実現すれは将棋界、囲碁界ともに初めてとなる。

 羽生にとっては名誉の「8冠目」だろう。安倍晋三首相(63)による国民栄誉賞授与検討のニュースが流れた13日朝。都内の自宅で理恵夫人(47)から一報を聞いたという史上最強棋士は「まず驚きました。過去に受賞された方は各界で大変な活躍をされた方ばかりなので」と素直な心境を明かした。

 この日は東京都内の日本記者クラブで元々予定されていた永世7冠についての会見に出席。羽生には当然のように国民栄誉賞関連の質問が注がれた。「検討していただけるだけでも大変名誉なこと。引き続き棋士としてまい進していきたい」。穏やかな口調の片隅に賞の重みをかみしめているようだった。

 1985年に15歳2カ月でプロデビュー。以来30年以上に及ぶキャリアの中で、数々の金字塔を打ち立ててきた。96年には棋界初の全7冠に輝き一大ブームを巻き起こす。以降20年以上もトップの座に君臨し続けた。

 昨年春の名人戦で詰みを見逃すなど今年にかけて3タイトルを失い不調説がささやかれる中、今期竜王戦では圧縮していたエネルギーを一挙に放出するかのような快勝の連続で復位に成功。若手を中心に復権している古典的戦法を独自にアレンジして実戦に投入する柔軟性は周囲をうならせた。「30年以上にわたって棋士生活を続けている中で、一つの大きな地点にたどり着くことができたのは、自分自身にとっても非常に感慨深く思っています」と充実感を漂わせる。

 国民栄誉賞受賞が実現すれば、授与式は来年早々にも行われる。だが、羽生にとってそれはゴールではない。

 今後のターゲットは故大山康晴15世名人の持つ歴代最多勝利記録1433。あと42勝と迫っており「追いついて、追い抜けるように頑張りたい」と意欲的だ。さらに前人未到のタイトル通算100期にも王手をかけている。高みに立ってもなおファイティングポーズを崩さない。それが羽生善治という人間の生き方だ。

 ◆羽生 善治(はぶ・よしはる)1970年(昭45)9月27日、埼玉県所沢市生まれの47歳。82年6級で二上達也九段門下となり、85年四段昇格。89年(平元)竜王戦で初タイトル獲得。96年に初の全7冠制覇。タイトル保持は竜王7、名人9、王位18、王座24、棋王13、王将12、棋聖16の計99期。現在は竜王の他、棋聖位も持つ。通算1955局で1391勝562敗。

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