感動増幅「陸王」劇中歌にリトグリ起用のワケ TBS池井戸ドラマ初“歌唱のある曲”

[ 2017年11月12日 08:00 ]

TBS日曜劇場「陸王」の劇中歌を担当する「Little Glee Monster」
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 女性5人組ボーカルグループ「Little Glee Monster」(以下リトグリ)がTBS日曜劇場「陸王」(日曜後9・00)の劇中歌を担当。歌手・平原綾香(33)の名曲「Jupiter」をカバーし、視聴者の感動を増幅している。同局が作家・池井戸潤氏の小説をドラマ化したのは4回目だが、過去3回は歌唱のある曲は使わなかった。同局の伊與田英徳プロデューサーに新しい試みの理由、リトグリ起用の理由を聞いた。

 経営危機にある創業100年以上の老舗足袋業者「こはぜ屋」が会社存続を懸け、ランニングシューズ「陸王」の開発に挑む企業再生ストーリー。第2話(10月29日)のハイライト。故障した茂木裕人(竹内涼真)が「陸王」を履き、トラックへ。一歩一歩、感触を確かめるように走る。その映像に、リトグリが歌う「Jupiter」が重なることで一層、熱いものがこみ上げる。

 同局による池井戸氏作品のドラマ化は、いずれも日曜劇場。「半沢直樹」(2013年10月クール)「ルーズヴェルト・ゲーム」(14年4月クール)「下町ロケット」(15年10月クール)と、過去3回の音楽は作曲家・服部隆之氏の劇伴。歌唱のある曲は使わなかった。今回の「陸王」も服部氏の劇伴。そこに、リトグリの歌う劇中歌が加わった。

 今回の池井戸ドラマは“走るシーン”が特徴。伊與田氏は「(監督の)福澤(克雄)と相談しましたが、セリフを言いながら走るのは難しい。ランナーの思いをどう表現したらいいかを考えた時、歌唱のある曲を入れたらいいんじゃないかと。主題歌、挿入歌じゃなく“劇中歌”という形で、シーンに合った曲を流そうと踏み切りました」。登場人物の心境を代弁する劇中歌の狙いを明かした。

 リトグリは14年にメジャーデビュー。作詞に初挑戦した9枚目のシングル「明日へ」(今年9月発売)はオリコン週間ランキング2位を獲得し、今月8日には10枚目のシングル「OVER/ヒカルカケラ」をリリース。今年1月には目標だった日本武道館ワンマンライブを行うなど、今、乗りに乗っている。

 今年春にリトグリのライブを訪れた伊與田氏は、その歌声に感動。「純真無垢なパワーを感じました。フレッシュな力強さがドラマに合っているんじゃないかと思い、お願いしました」と抜擢。第1話(10月15日)は終盤、主人公・宮沢紘一(役所広司)が自ら「陸王」を履いて走るシーンなどで「Jupiter」がかかり、インターネット上を中心に話題が広がった。第3話(5日)もラスト手前、宮沢大地(山崎賢人)が再び飯山晴之(寺尾聰)と「陸王」のソール部分に合う「シルクレイ」の開発に取り組む場面などで再び「Jupiter」が流れた。

 リトグリのメンバー・かれん(19)は「今回、ドラマと共に私たちの歌声に大きな反響があったことは、とてもうれしいです。キャストの皆さんもスタッフの皆さんも熱い思いでこのドラマに取り組んでいらっしゃるので、今回はそれに負けないようにレコーディングに臨みました。ハーモニーの細部にこだわり何度も何度も歌い直しました。この後も5人だからこその歌声、力強いハーモニーと繊細さにぜひ注目していただければと思います。この劇中歌を通して、夢に向かって走るすべての人を全力で応援したいです」とコメントしている。

 曲目を「Jupiter」にしたのは「『ひとりじゃない』という歌詞が、キャラクターの思いにしっかり重なる。プラス、曲の持っている力で選びました」(伊與田氏)。今後はシーンにより流れる曲が変わり「リトグリさんに実力があるからこそ可能になった新しいチャレンジ。どの曲になるかは、楽しみにしていただければと思います」と呼び掛けた。ドラマのキャッチコピーは「自分を変える、覚悟はあるか。」――。池井戸ドラマに歌唱のある曲を使った今回の伊與田氏の挑戦も、その1つだった。

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2017年11月12日のニュース