青井陽治さん死去 「ラヴ・レターズ」26年欠かさず演出 朗読劇の金字塔に

[ 2017年9月2日 22:27 ]

演出家の青井陽治氏(2016年撮影)
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 翻訳家で演出家の青井陽治(あおい・ようじ)さんが1日午前11時32分、すい臓がんのため死去した。69歳。神奈川県出身。

 訳・演出を手掛けた「ラヴ・レターズ」は1990年8月の初演以来、約250組のカップルが延べ約450回、四半世紀にわたって読み継いできたが、青井さんの功績になしに“朗読劇の金字塔”にはなり得なかった。「ラヴ・レターズ」のホームグラウンド・パルコ劇場(東京・渋谷区)はビル建て替えのため、昨年8月をもって一時休館。休館に入る前のラスト1週間、渡辺謙(57)南果歩(53)ら日替わり豪華キャストで有終の美を飾ったが、青井さんは2019年にオープンする新劇場を見ることなく、この世を去った。

 米作家A.R.ガーニー氏作の「ラヴ・レターズ」は89年にニューヨークで初演されるや、全世界で上演され、静かな感動を巻き起こした。大掛かりな仕掛けはなく、テーブルと2脚のイスというシンプルな舞台。並び座る男優と女優が、大人になって再会する幼なじみアンディーとメリッサの恋物語を読み上げるだけの2時間。日本初演は90年8月19日、役所広司(61)と大竹しのぶ(60)が出演した。訳・演出は「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」など数々の作品で知られる青井さんが第1回から欠かさず担当した。

 パルコの尾形真由美プロデューサーによると、当時、パルコ劇場の公演パンフレットには、その演目とは関係なく、ニューヨークとロンドンの演劇情報が末尾に掲載されていた。その中で「ラヴ・レターズ」の記事を目にし、作品に惹かれたパルコ劇場の内藤美奈子プロデューサー(現東京芸術劇場)が、青井さんと上演権を獲得した。今や市民権を得た朗読劇だが、当時は珍しく、2000年頃から定着するまでの10年間は、日曜夜や休演日など劇場が空いている時間に上演した。

 「ラヴ・レターズ」が長く愛される理由について、尾形氏は台本のよさとともに、青井さんの存在を挙げた。稽古は青井さんが4〜5時間かけて台本の解釈を説明し、直後に本読みを1回して終了。たった1日だけだが、26年間、約450回の継続は並大抵のことではない。

 尾形氏は「青井さんが1回も欠かさず稽古をし、本番に付き合ってくださったからこそ続いた作品。青井さんあっての『ラヴ・レターズ』です」と称賛。「あまりに外れていれば軌道修正はしますが、基本的に青井さんから役者さんに『こう読んでください』という注文はありません。読みたいように読んでください、と役者さんに任せます。ただ、読みたいように読んでもらうために、感覚だけで読むことにならないように、ストーリーの時代背景や社会情勢を4〜5時間かけて解説し、基礎をつくってあげます」と青井さんの演出に感嘆していた。

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