将棋グランプリ?

[ 2017年7月8日 10:00 ]

2日、竜王戦決勝トーナメントで顔を合わせた藤井聡太四段と佐々木勇気五段
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 【我満晴朗のこう見えても新人類】 羽生善治と言えば、言わずと知れた将棋の現役最強棋士。将棋はもちろん、チェスの使い手としても国内トップクラスに位置している。最近は人工知能(AI)に興味を抱き、昨年来NHKの特集番組では取材だけでなくナビゲーターを担当するほどの入れ込みようだ。

 そんな羽生3冠、6月中旬には都内で行われた「プロ棋士から見たAI」という座談会に参加。コンピューターに詳しい囲碁棋士や東大教授らに交じってAI論をとうとうと語る姿に感銘を受けた。「このままソフトが発達したら、職業としての棋士はどうなる?」という、いささか意地の悪いテーマでは、ソフト同士の対局を24時間流し続けるサイト「フロードゲート」を例に挙げ「もし将棋好きの皆さんがこれを見て、人間同士の棋譜は全く見ないというのなら、職業としての棋士はなくなってしまう」とショッキングな発言。「だからそれ以外のところで価値とか意義とかを作っていく必要がありますね」と続けた。

 7月2日の藤井聡太四段―佐々木勇気五段戦を取材中、そんな羽生の意見を思い出した。29連勝の大偉業を成し遂げた14歳の息遣い。30連勝を阻止した佐々木五段のアニメ主人公のような目力。いずれもAI将棋にはない魅力に満ちあふれている。

 記者控室を訪れる棋士たちのリアクションも興味深い。「教授」のニックネームを持つ勝又清和六段は進行中の盤面モニターを見ながら即席の「講義」?を行うのがお約束。好き勝手にくつろいでいる報道陣もこの時ばかりは「生徒」の気分になる。羽生世代の一人で「テンテー」こと藤井猛九段が姿を見せた際の第一声は「ども。“じゃない方の”藤井です」。漫才か。これだけで大受けだ。

 ネット中継解説を務めていた高見泰地五段は「見てました?でもあれは増田康広クン(四段)ですから」とナゾのコメント。よく見ればこの二人、かなり似ている。眼鏡までそっくりだ。裏で示し合わせているのだろうか。藤井四段が敗れた後には横歩取りや引き角戦法の著作で有名な飯島栄治七段が現れ「これで相掛かりがまた脚光を浴びるんじゃないですか?いま本を書いたら絶対売れますよ。“藤井の連勝を止めた相掛かり”とか」と興奮しきり。いやはや、いろんな人がいる。

 確かにこれだけ個性豊かなプロ同士が持てる知力を振り絞って対戦するのだから、面白くない訳はない。AIがどれだけ進化したところで、この事実は永久に変わらないだろう。

 ところで前述の座談会。羽生はAIと将棋の関わり合いについてこんな提言をしていた。

 「競技としてF1のようになる可能性があるのでは?ドライバーがいて、エンジンがある。そのエンジンはチームによって異なるわけで…」

 むむっ。そうきたか。将棋とF1を結びつけてしまう発想がすさまじい。元モータースポーツ担当としても聞き捨てならぬアイデアだ。次に会った時には、もっと根掘り葉掘り聞いてみたい。 (専門委員)

 ◆我満 晴朗(がまん・はるお)1962年、東京都生まれ。ジョン・ボンジョビと同い年。64年東京五輪は全く記憶にない。スポニチでは運動部などで夏冬の五輪競技を中心に広く浅く取材し、現在は文化社会部でレジャー面などを担当。たまに将棋の王将戦にも出没し「何の専門ですか?」と尋ねられて答えに窮する。愛車はジオス・コンパクトプロとピナレロ・クアトロ。

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