効率的&効果的な映画宣伝とは…「アンフェア」詰め込み過ぎ

[ 2015年8月28日 10:30 ]

佐藤浩市(左)のエスコートでヘリから降りる篠原涼子

 篠原涼子(42)主演の映画「アンフェア the end」のジャパンプレミアが8月18日、東京・港区内の2カ所で行われた。「ジャパンプレミア」と今では普通に使うが、要は完成披露試写会。受付から終了まで約4時間。徒労感だけが強く残った。

 2006年にフジテレビの連続ドラマでスタートした「アンフェア」は、9月5日公開の劇場版ですべての謎が解き明かされ、10年の歴史にピリオドを打つ。配給の東宝はじめ関係者の気合いが入るのはよく分かるが、ハッキリ言って詰め込み過ぎだ。

 最初の取材ポイントは港区赤坂のアーク森ビル屋上。篠原はじめ佐藤浩市(54)、永山絢斗(26)、加藤雅也(52)、AKIRA(33)の主要キャスト5人が9人乗りのヘリコプターに乗り込み、東京上空を旋回して同ビルのヘリポートに降り立った。ここでまず写真タイムと、MC(進行役)を務めたフジテレビ笠井信輔アナウンサー(52)による代表質問。次がTOHOシネマズ六本木ヒルズに場所を移してのレッドカーペット・セレモニー。そして最後が劇場での舞台あいさつという3部仕立てだ。

 ヘリの使用料金はもとより、役者さんをヘリに乗せたのだから、おそらく高額の掛け捨て保険にも入っただろう。これだけ見ても、宣伝費を惜しみなく投じた豪勢なイベントだが、翌日の新聞各紙はすべてヘリの記事で作っていた。取材の呼び込みはここだけで良かったかもしれない。

 各所でMCを務めた笠井アナもお疲れさまだが、気になったのが、どこでも必ず「“とくダネ!”です」から入ったことだ。NTTドコモのCMが話題の堤真一(51)や綾野剛(33)が「アンフェア」に出演しているなら「ははあ、引っかけてるな」と笑えもしようが、笠井アナの場合は、どうやらただの番宣。仕事熱心なのは分かるが、映画を楽しみに来ているファンには関係ない。2度3度となると、さすがに耳障りだった。

 ドラマの劇場版が幅を効かせている昨今、完成披露試写会や初日のセレモニーにテレビ局のアナウンサーがMCを務めるケースは多い。しかし、これほど露骨に自分が出ている番組をPRする人も珍しい。節度は必要だし、「とくダネ!」の取材班だけ入れれば十分では?…そんなことまで思ってしまった。

 当日は他に大きなネタがたくさんあった。最初から窮屈になることは分かっていたが、出席者の爆弾発言など“突発”が起こらないとも限らない。それだけをマークしていたが、何事もなく舞台あいさつが終わったのが午後7時20分ごろ。割ける紙面スペースも一段と小さくなっていた。

 取材を呼び込む以上、宣伝マンも同じ日に他にどんなイベントがあるかを事前にリサーチしたり、記事の扱いがどうなるかなどを考えて組み立てた方がいい。せっかくの「アンフェア」完結編。見た目の派手さよりも、もっと内容に特化したイベントにしてほしかった。お節介とは思うが、翌日、東宝の宣伝マンにはそう意見した。

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2015年8月28日のニュース