アラーキー大腸ポリープ発見も「これから始まるってぐらいの気持ち」

[ 2015年4月23日 17:44 ]

写真展開催を前に取材に応じる写真家のアラーキーこと荒木経惟さん

 写真家のアラーキーこと荒木経惟さん(74)が23日、東京・参道ヒルズのイベントスペース「スペースオー」で24日から開催される写真展「男―アラーキーの裸ノ顔―」を前に取材に応じた。1997年から2014年までの17年間で創刊20周年の月刊誌「ダ・ヴィンチ」の連載で撮った200人以上の男たちの顔写真をまとめた写真集「男アラーキーの裸ノ顔」の発売を記念したもの。

 男たちの顔を前に「男の写真を撮らせたら荒木。という実感があるね。一番うまいんじゃない。写真を見ればいい写真だってわかるから」と笑顔。“男の顔”へのこだわりについて「私は最初から裸が好き。男の裸って顔なのよ。一番さらしているし、人生とか、生きていることとかもみんな全部顔に出る。男は顔で表現している。写真家ってそれを複写するだけでいいんだよ。17年間撮ってきて、その気持ちは変わらない。男のいい時の記録だね」。

 お笑いタレントのビートたけし(68)、漫画家の赤塚不二夫さん(享年72)、俳優の浅野忠信(41)、ザ・ドリフターズのいかりや長介さん(享年72)、歌手で俳優の及川光博(45)、ソフトバンクの王貞治会長(74)、歌舞伎俳優の十八代目中村勘三郎さん(享年57)、十代目坂東三津五郎さん(享年59)、俳優の堺雅人(41)ら被写体のジャンルは役者、作家、演出家、スポーツ選手など多岐にわたる。

 人選へのこだわりはなく「誰でもいい」とあっさり。「個人の好みなんて大したことじゃない。男はすべて魅力的であることを出したかった」といい、撮影する時は「自分が欠点だと思うことも、それが魅力だとしゃべればうまくいく。一種の変な恋愛関係を持つってことだね。俗に言う恋愛関係が出ちゃうのは若い奴が多いかな、ついついね」と笑った。

 今回の写真展はビートたけしから北野武まで。同じ人物はたけしのみ。「不良に磨きをかけて、いい顔になった。不良からより不良になった。いま一番不良でいい」とその魅力を語りつつも「ガタガタ言ってるけど、好きだけだよ」とも。「一回撮ったら撮らないぐらいの気合いで撮っているので、どっちかが死ぬ覚悟で撮っている。このシリーズで撮ったらもう撮らないと決めている」という荒木氏。ただ「もうちょっとイケるなってのも何人かいる。中には真っ黒く塗りたいやつもいる」と本音ももらしつつも、「死んじゃった人ももうちょっと広い意味でステキに撮ってあげれば良かったなとかも思ったりもする。三津五郎さんとかさ…」と続けた。

 「きのう大腸ポリープの検査して2つ大きいのがあって調子悪いんだよ。がんじゃなかったけどね」と体調不良を明かした荒木氏だが、写真展を通じて「これから始まるってぐらいの気持ちで自分の写真にあおられている」とやる気は十分。「一番顔が面白い。男の裸は顔だから。ヌードを撮っていても、最後にシャッターを押すのも顔。女性の場合も裸は顔かな。(顔は)死ぬまで撮り続けるんじゃないかな。リアリズムよりもリリシズムを出したい」と話した。

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