米倉斉加年さん「お別れの会」に500人 倍賞千恵子が弔辞「寂しい」

[ 2014年10月14日 05:30 ]

米倉斉加年さん「お別れの会」で弔辞を読んだ倍賞千恵子

 8月26日に腹部大動脈瘤(りゅう)破裂のため死去した俳優米倉斉加年さん(享年80)の「お別れの会」が13日、東京・青山葬儀所で営まれた。舞台や映画のほか、演出家、絵本作家としても活躍した米倉さんの急逝を悼み、約500人が参列。映画「男はつらいよ」シリーズなど多くの作品で共演した女優倍賞千恵子(73)は「米さん、さよなら」と涙を流した。

 台風19号が東京に接近する中、会が営まれた午後は雨風が小康状態。司会を務めた露木茂アナウンサー(73)は「晴れ男だった米倉さんの力では」と故人をしのんだ。

 倍賞が弔辞を読み「相談事で電話をすると“大丈夫、そのままでいいんだよ”と言ってくれていた。“大丈夫”が聞けなくなると思うと寂しい」と涙。新作の撮影で参列できない山田洋次監督(83)の手紙も代読。山田監督は1月公開の映画「小さいおうち」のパーティーで会った際、米倉さんにフランス小説が原作の舞台「マリウス」の構想を打ち明け、頑固親父役を依頼すると乗り気だったといい「あなたと舞台の仕事ができると楽しみにしていたのに」と悔しそう。「生涯の師として仰ぎ尊敬した宇野重吉さんと再会し、演劇論を心より語り合ってください」と悼んだ。

 半世紀にわたり親交があった永六輔(81)は音声でメッセージを寄せ、高倉健(83)らから弔電が届いた。関係者によると、遺作となった映画「ふしぎな岬の物語」で企画・主演を務めた吉永小百合(69)も訪れたが、報道陣の前には姿を見せなかった。

 喪主を務めた妻テルミさん(80)は、5年ほど前から内臓の検査を受けるよう勧めていたが、そのたびにケンカになり諦めたと説明。知人を訪ねて故郷の福岡市に滞在中、腰の痛みを訴え病院に運ばれ、切開すると動脈瘤は直径11センチもあったといい「手遅れだった。首に縄を付けても医者に連れていけば…」と無念さをにじませた。米倉さんとは小学校時代の同級生で「自分の体の半分がなくなったよう」と喪失感も明かしたが、「彼はいちずで子供の心を持った可愛い人。幸せだったと思う」と話した。

 祭壇は長女でグラフィックデザイナーの窪田加乃さん(45)が担当。米倉さんが07年に立ち上げた劇団「海流座」にちなみ、海に浮かぶ島や海流をイメージし白い花を配置した。遺影は03年の舞台演出時に稽古場で撮影し、本人が気に入っていたもの。長男で俳優・演出家の米倉日呂登(55)が会の構成を担当。米倉さんが生前に舞台のカーテンコールで「きょうは本当にありがとうございました」とあいさつする映像が流され、参列者が見入っていた。

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