香里奈もビックリ!ドラマ「リアル・クローズ」の“新商売”

[ 2009年10月21日 08:24 ]

 テレビの中で俳優が着ていた服がすぐ買える。そんなドラマが、多くの人が視聴する地上波の午後10時台に登場し、ホームページにはアクセスが殺到した。番組を使った新手のビジネスとして定着するのか―。

 関西テレビ制作の連続ドラマ「リアル・クローズ」(フジテレビ系、火曜夜放送)。初回(10月13日)では最後に主演女優が「すてきなお知らせです。ドラマの中で私たちが着ている服がゲットできちゃいます!」と笑顔でPR。視聴者プレゼントかと思い番組サイトにアクセスすると、通信販売に導かれていく…。
 このドラマは、百貨店の婦人服売り場を舞台に主人公が仕事や恋愛、ファッションなどに悩み、成長していく姿を描く。タレントの香里奈、能世あんな、えれなの3姉妹や、明石家さんまと大竹しのぶの娘、IMALUの出演など話題に事欠かない。
 さらに新しい試みとして、出演者が身に着けていた衣装やアクセサリーを番組ホームページから購入させる仕掛けを作った。販売サイトにはワンピースやネックレスなどがずらり。関西テレビ系列の通信販売会社が商品の販売を担っている。
 関西テレビ宣伝部は「視聴者サービスの一環。番組内で登場した衣装への問い合わせは非常に多い。ドラマをより楽しんでもらうのが目的で、商品を売るための番組ではない」と説明する。
 初回の放送直後には、ホームページに約2万件のアクセスがあり、サーバーがダウン。約350点が売れた。初回の視聴率は関東地区で9・8%(ビデオリサーチ調べ)だった。
 番組にアクセサリーを提供している甲府市の宝飾メーカー「ラッキー商会」は「誰かが着けていたら自分も着けたくなるのが日本人の特質で、番組で使ってもらうのは大きなメリット。効果は不明だが、他社と違ったことに挑戦した」と話す。
 放送業界の経営状況が厳しい中、新たなビジネスモデルといえそうだが、視聴者保護のために番組がCMと混同されないように求めている民放連の放送基準との整合性はいかがか。
 民放連の田島炎番組部長は「デジタル放送活用に向けての一つの試みといえる。放送基準に直接かかわる事例ではないが、今後の視聴者の受け止め方を見守っていきたい」と慎重な姿勢。
 一方、立教大の砂川浩慶准教授(メディア論)は「これまでもスポンサーの商品を番組で小道具としてきたが、さらに一歩踏み込んだ手法」と指摘。「CMか番組か視聴者が混乱しないよう丁寧な説明が必要。商売が行きすぎればメディアの信頼性を損なうことになる」と警鐘を鳴らした。

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2009年10月21日のニュース