井口氏、由伸氏、福留氏、鳥谷氏が学生指導者へ第一歩 未来の侍育成に向け資格回復研修を受講

[ 2023年1月12日 05:10 ]

左から井口資仁氏、高橋由伸氏、福留孝介氏、鳥谷敬氏
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 元日本代表戦士が、学生野球指導へ一歩を踏み出した。ロッテ前監督の井口資仁氏(48)、巨人前監督の高橋由伸氏(47)、昨季限りで現役引退した福留孝介氏(45)、阪神とロッテで活躍した鳥谷敬氏(41)が、学生野球指導に必要な資格回復の研修を受講していることが11日、分かった。いずれも日本代表で五輪、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)などの国際大会出場経験を持つ4氏。資格回復が実現すれば、将来の侍育成の大きな力になる。

 スポニチ本紙の取材によれば、井口氏、高橋氏、福留氏、鳥谷氏は既に受講を進めているという。学生野球資格回復制度による研修会は、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、20年度からeラーニング(オンライン)形式に変更。希望者は申し込み手続きを済ませた後、11~12月の期間内に各自で研修動画を視聴し、リポートの提出受け付けが10日から始まった。

 監督経験、メジャー経験など、それぞれ豊富な経験値を持つ4氏だが、共通点の一つは日の丸を背負って戦った日本代表だったことだ。3月にWBCが開催される野球界にとって今年は特別な年。元日本代表戦士がそろってアマ指導に向けて一歩を踏み出した。受講を修了し、資格回復が認められれば2月3日に資格回復者として発表され、高校野球などの指導が可能になる。

 井口氏は青学大時代の96年にアトランタ五輪に遊撃手として出場し、銀メダル獲得に貢献した。昨季限りでロッテの監督を退任。昨年12月に西東京市で行われた野球教室では「我々の役目は底辺を広げることです」と語っていた。巨人前監督の高橋氏は、長嶋ジャパンと呼ばれた04年アテネ五輪の主力。井口氏は東都大学野球、高橋氏は東京六大学のそれぞれ最多本塁打記録保持者でもある。福留氏は96年アトランタ、04年アテネ五輪出場に続き、06、09年の侍ジャパンでは世界一連覇に貢献。鳥谷氏も13年WBCに出場した。3月に第5回大会に出場するWBC侍戦士たちの大先輩となる。

 20年に資格回復したマリナーズ会長付特別補佐兼インストラクターのイチロー氏は、特例が認められ高校野球指導を開始。指導した智弁和歌山が21年夏に全国制覇、国学院久我山(東京)は22年選抜で同校初の4強入りを果たした。イチロー氏も06、09年のWBCで連覇に貢献。同様に国際大会を経験した4氏が資格回復となれば、日本野球の底辺拡大やレベルアップに大きな力となる。

 昨年の日本高野連の加盟校数は3857校で17年連続の減少、硬式野球部員数は13万1259人で8年連続の減少となった(いずれも5月末時点)。日の丸を背負ったレジェンドたちの指導の実現に期待がかかる。

 ▽学生野球資格回復制度の研修会 プロ経験者が高校や大学で野球を教える資格を、短期間で回復するために創設。13年以前は元プロが指導するためには「中学、高校での2年以上の教諭歴」などの制限があったが、13年にアマチュア資格回復の制限が大幅に緩和。翌14年からプロ側と学生野球側が行う研修を受け、日本学生野球協会による適性審査を経て、資格回復が認められるようになった。19年からはプロ球団に在籍中の監督、コーチ、選手らの受講も可能に。ただし、学生野球指導のためには研修修了後「資格回復適性審査申請」し認定される必要がある。高橋氏は現在、巨人の球団特別顧問のため、退団後に申請を行う必要がある。

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