ロッテ新監督 「吉井理人」という理論派の熱血漢

[ 2022年10月7日 17:07 ]

吉井理人氏
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 【吉井理人という男】吉井理人という野球人を表すなら「理論派」であり、「熱血漢」だ。この両極端な姿が吉井氏の生き様ではないだろうか。

 箕島高、近鉄、ヤクルト、大リーグ、さらに日本球界復帰と日米通算23年のマウンドでは常に闘志を前面に出したスタイルが印象深い。

 一方で和歌山の中学時代に円盤投げで近畿大会の上位に入賞した異色の経歴を持つ。当然野球部で、陸上競技に関してはまったくの初心者だったが、自分で陸上関係の本を読みあさり、高校の陸上指導者の教えを受けに訪ねていったり勉強して、円盤投げを習得した。吉井氏いわく「下半身から指先に伝える運動連鎖は投球に共通するものがあった」という。

 その探究心から引退後、筑波大大学院の人間総合科学研究科博士前期課程体育学専攻野球コーチング論研究室でコーチング理論を研究し、体育学の修士学位を取得したのも納得だ。

 コーチとしてもその深い理論で、ソフトバンクの強力投手陣、日本ハム時代には大谷翔平、ロッテで佐々木朗希らが一流に育つための指導を行ってきた。一方で、日本ハム投手コーチ時代に忘れられない姿がある。対戦相手の投手が打ち込まれ、マウンドでコーチから叱責(しっせき)を受けた試合を振り返ったときだ。吉井氏は怒っていた。

 「打たれたくて打たれたわけじゃない。それなのに試合中みんなが見ている前であんなふうに怒るなんてあかんやろ。選手がだめになる」

 現役時代の熱を感じ、ちょっと怖いくらいだった。同時に相手チームであっても選手に対する愛情は深いのだと感心した。コーチを受けた選手からの信頼は言わずもがなだ。情に厚い人。井口監督の電撃辞任で動揺するチームをまとめるには最適な人物だと思う。(君島 圭介)
  

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2022年10月7日のニュース