カブス・誠也 初安打はサイ・ヤング賞腕討ち 「最も四球を出さない男」から価値ある四球も

[ 2022年4月9日 02:30 ]

ナ・リーグ   カブス5-4ブルワーズ ( 2022年4月7日    シカゴ )

<カブス・ブルワーズ>5回、メジャー初安打を放ったカブス・鈴木(AP)
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 カブス・鈴木が上々のメジャーデビューを飾った。「6番・右翼」で出場し、1安打2四球1得点。初打席から3打席連続で出塁して5―4の白星発進に貢献し、本拠地シカゴの熱気に酔った。

 記念すべき初安打は昨季サイ・ヤング賞右腕のバーンズから放った。1点を追う5回先頭の第2打席。初スイングでスライダーを左手一本で拾い左前へ運んだ。後続の犠飛で同点のホームを踏み、この回3得点で逆転の口火を切った。

 「凄いっすね。見たことのないボール。こんなピッチャーいるんだ。こういうピッチャーともっと対戦して勝負したいというのを望んでこっちに来た」

 初安打を喜んだが、それ以上に打席で感じた衝撃と興奮が上回った。メジャーのレベルの高さを痛感したのは2回の1打席目、その初球から。96マイル(約154キロ)のカットボールが外角に外れたが「打ちにいって見逃したのではなく、本当に手が出なかった。あれだけの球威で曲がるのは見たことがなかった」。驚きと同時に、世界最高峰のレベルで戦える喜びが込み上げた。浮足立つことなく、しっかり6球見極めて四球を選んだ。

 「最も四球を出さない男」から選んだ四球だった。バーンズは昨季、規定投球回に到達したメジャー39投手の中で、最少の34与四球。精密機械を見極めて、6回には2番手左腕アシュビーからも8球粘って2個目の四球を選んだ。「ヒットを打つのは難しい。でも何とか粘って塁に出て、いやらしいことをやっていれば、相手にダメージがいくし、チームにとってもいい」と安打以上の手応えを得た。

 みぞれ舞う気温6度の悪条件でも、5年総額8500万ドル(約105億円)で迎えられた男には1打席目にスタンディングオベーションが注がれた。初安打の記念ボールは「今回も頂いたんですけど、どっかに行っちゃう。勝手にボールが逃げちゃう」と笑った。見据えるは「世界一の選手になりたい」。そのための一歩を踏み出した。

 《昨季バーンズ126人連続無四球》バーンズは昨季、開幕から打者126人続けて四球を与えなかった。最終的に167イニングを投げて、わずか34四球。規定投球回到達投手では両リーグ最少で、投手の能力を測る「K/BB」(奪三振÷与四球)という指標も6.88でメジャー最高だった。この指標は3.5以上なら優秀とされており、驚異的な高さ。だが、この日は初回先頭のオルテガに始まり、鈴木を含め3四球。1試合3四球は昨季28先発で4度しかなく「四球は避けたかったが、うまくいかなかった」と振り返った。

 ▼カブスのデービッド・ロス監督 鈴木は心地よくプレーし、タイミングが合っていた。彼の安打が出た時は一番ベンチが盛り上がった。

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2022年4月9日のニュース