広島・育成4位の中部学院大・坂田 夢を諦めず病と闘いプロの道 フルタイムのナックルボーラーに挑戦

[ 2021年11月24日 07:45 ]

中部学院大・坂田怜

 ダイナミックな投球に、当時は「4年後が楽しみ」と思っていた。広島から育成4位で指名された中部学院大・坂田怜投手(22)のことだ。ただ、思いがけない触れ込みを目にし、絶句した。

 スポニチ本紙のドラフト選手名鑑にあった「生粋のナックルボーラー」。4年前に見た坂田は本格派だっただけに驚いた。記者が拓大4年時に母校・正智深谷に教育実習生として行った時の3年生でエース。長身から投げ下ろす投球に「大学で体ができたら凄い投手になるんじゃないか」と、くぎ付けになった。当時、大学の野球部でデータ班として同じ東都2部で対戦する専大・高橋礼、国士舘大・椎野(ともに現ソフトバンク)ら好投手の映像を嫌というほど見ていたが負けていなかった。

 「プロ野球選手」という目標をかなえるため、広島・床田らを輩出した中部学院大に進学した。1メートル88、90キロと恵まれた体を生かし、1年秋からリーグ戦にも登板。順調にも思えたが突然、病が襲った。2年生の3月。すぐに息切れすることや、休んでいても脈が早くなることに異変を感じ病院を受診。「バルサルバ洞動脈瘤(りゅう)破裂」と診断され、心臓を手術した。胸骨を切る手術だったため「長い期間、上半身のトレーニングができず私生活もしづらかった」。体重は82キロまで減少。最速143キロだった球速も131キロまで落ちた。

 それでも、夢を諦めなかった。懸命にリハビリに取り組み、3年時の12月にブルペン投球ができるまでに回復。そこで原克隆前監督から助言を受け、ナックルに挑戦。今年の2月には本格的にナックルボーラー転身を決意した。YouTubeでナックルを武器にメジャー通算200勝を挙げた元レッドソックスの右腕ウェークフィールドの映像を研究。後輩や、ナックルを投げる独立リーガーにもSNSでメッセージを送り、助言を求めた。

 ブルペンでは「8割ナックル、2割が真っすぐという意識」。キャッチボールでも投げ、感覚を磨いた。8月の練習試合で「球速が遅くても打ち取れる」と手応え。実戦復帰が3月で今季の公式戦登板は1試合ながら道を切り開いた。「まずは支配下になって、日本でもナックルボーラーが通用するということを証明したい」と、日本初のフルタイムのナックルボーラーという唯一無二の存在を目指す。

 「ナックルといえばメジャー。大きな夢ですけど目指したい」と坂田。ナックルボーラー歴は1年未満。これからどんな成長を見せてくれるのか。楽しみしかない。(記者コラム・小野寺 大)
 

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