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真のエースの条件とは? 中日・大野雄に見る人間力

[ 2021年11月23日 09:00 ]

中日・大野雄(撮影・椎名 航)
Photo By スポニチ

 野球の主戦投手である「エース」の語源には諸説あるが、有力なのは人名に由来するというもの。その人物とはアサヘル・ブレイナード(Asahel Brainard)。1860年代から70年代にかけて米国のプロ野球で活躍した伝説の投手だ。

 彼はシンシナティ・レッドストッキングスでプレーした1869年に57試合中56勝(諸説あり)を挙げ、スターになった。この活躍から、次々と勝利を収める好投手は「エイサ(Asa=ブレイナードのニックネーム)のようだ」と形容されるようになり、後に「エース」へと変化したという。

 日本の場合は実力だけでなく品格や、人柄も「エース」の条件に含まれていると思う。練習態度、マウンドでの立ち居振る舞い、報道陣への対応、その発言内容、チームメートに与える影響…などだ。

 現代の日本のプロ野球に「エース」と呼ばれている投手は多いが、その中で間違いなく「真のエース」の一人は中日の大野雄大だ。2010年ドラフト1位で入団し、長年にわたってチームを支えてきた。2019年から2年連続で最優秀防御率のタイトルを獲得。20年には最多奪三振と合わせた2冠を獲得し、投手に最高の栄誉である沢村賞にも輝いた。今夏には東京五輪で日本代表の金メダルにも貢献した。

 以前から成績だけでなく、その堂々としたマウンドさばきやコメントに好感を持っていた。10月に中日担当となり、人間力も一流であると感じた。今オフに地元の京都府、京都市から表彰を受けた際には、自分がいかに故郷を大切にしているかを丁寧に説明していた。場の空気を読み、相手の気持ちをくみ取って発言する姿が印象的だった。

 実は2010年のドラフト直後に中日から指名あいさつを受ける佛教大の大野を取材していた。2010年10月31日付のスポニチを見返すと、大野「中日に恩返ししたい」の見出しがついていた。左肩を痛め、最後の秋のリーグ戦でアピールできなかった自分を外れではなく、単独で1位指名してくれた中日への恩返しを誓ったという内容。その言葉通り、しっかりとチームに貢献してエースに成長した。

 立浪新監督の下、4日からナゴヤ球場で行われている秋季キャンプで33歳左腕は、連日、若手に混じって黙々とハードなメニューをこなしている。若手にとっては最高のお手本となるだろう。「雄大のようだ」と形容される投手が一人でも多く出てくることを期待している。(記者コラム・中澤 智晴)

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