巨人ドラ1関西国際大・翁田 大学最後の公式戦「一番いいボールを」最後の1球に隠されていた後輩との絆

[ 2021年10月25日 08:00 ]

<関西国際大・神戸国際大>7回から登板した翁田(撮影・平嶋 理子)  
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 育成選手を含めて128人が指名された10月11日のドラフト会議。巨人から1位指名を受けたのは、関西国際大・翁田大勢投手(22)だった。17日には大学生活最後の試合となった阪神大学野球リーグの神戸国際大戦で救援登板。3回1失点、4奪三振と好投して有終の美を飾った。

 7回から登板して31球を投じ、9回の最後の打者を空振り三振に仕留めた球は、この日最速153キロ。コロナ下のため9月まではいなかった観客から大きな拍手が送られた。翁田が渾身(こんしん)の力を込めて投げた最後の1球。ここには、後輩との絆が隠されていた。

 翁田の女房役を務めたのは、西脇工時代からバッテリーを組んできた西山大貴(3年)だった。出場はできなかったが甲子園を目指して汗を流し、大学でも多くの時間を共有した後輩だ。それだけに、2人にとって、この試合は特別な時間だった。

 翁田がマウンドから西山に視線を向けると、マスク越しに涙を流しているのが分かった。「(西山が)“最後は翁田さんと組みたい”と言ってくれていたので、最後は自分の一番いいボールを投げたいと思って投げ込みました」。ドラフト指名後、初めての登板。プロの世界へ旅立つ右腕は、後輩への思いを込めて投げた。「僕も泣きそうになった」と先輩らしく笑った。

 高校卒業後は就職も考えていたという西山だが、「翁田さんと野球がしたい」と進学。その背中を追ってきた。「翁田さんも締めくくりの1球という気持ちで投げてくれたと思うんですけど、自分に“頑張れ”と言ってくれた球だなと感じた。凄くうれしかったです」と思いを受け取り、笑顔を見せた。高3時に指名漏れを経験した先輩に対し、「ドラフトで指名された選手の中でも、悔しい気持ちは一番持っていると思う。活躍してほしい」とエールを送った。

 翁田は、西山を含め、地元の人たちの周囲の期待も背負ってプロの世界へ飛び込む。それでも「プレッシャーにはならない。やってやろうという気になります」と力強かった。(記者コラム・田中 健人)

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