ツーシームは伊藤将の「生命線」 痛打を教訓にして、阪神の新人左腕は勝負球と10勝を手に入れた

[ 2021年10月25日 08:00 ]

セ・リーグ   阪神7ー2広島 ( 2021年10月24日    マツダ )

<広・神>6回1死一塁、伊藤将は鈴木誠を一ゴロに打ち取る(撮影・大森 寛明)
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 【畑野理之 理論】伊藤将司が右の強打者に絶対にホームランを打たれたくない時に投げる球種は『ツーシーム』なのだろう。3―1の6回1死一塁で迎えた鈴木誠也に対して、そのツーシームを5球続けて、一ゴロに打ち取った。

 ボール、ボール、ボール…。カウント3ボールから鈴木誠はフルスイングして空振り。明らかに狙い球を絞り、同点2ランを狙いにきたように見えた。それでも阪神バッテリーは、狙われていても、同じ球を続けた。3―1からの131キロ真ん中低めも鈴木誠はフルスイングしたが、タイミングが合わず力のないゴロになった。

 7月3日、同じマツダスタジアムで行われた時も伊藤将は1―0の4回2死無走者で、状況的に長打を狙ってくるだろう鈴木誠にツーシーム、真っすぐで2ボールから、2球続けたツーシームで空振りを奪い、5球目はツーシームがボール。フルカウントからのツーシームで空振り三振を奪っている。6球すべてボール球だった…と、この欄で書いた。

 伊藤将は2回に坂倉将吾にツーシームを本塁打されて今季15本目の被弾となったが、その球種の内訳は共同通信デジタル翼によると、直球6、スライダー7、シンカー(ツーシーム)2となっている。ツーシームが低めに決まれば外野の後ろは越されない自信があるのだろう。

 歴代4位の通算317勝で近鉄エースだった鈴木啓示(本紙評論家)はプロ野球最多の560本を被弾した。最もたくさんホームランを食らったとはいえ、入団1年目から20年間も一線で戦ってきた勲章だと思う。その鈴木が「投手の基本である外角低めの真っすぐは1本もホームランにされた記憶はない」と胸を張る。560本すべてを確かめられないが、一番自信のある球がアウトローの真っすぐだったのは言うまでもない。

 伊藤将は5月15日の巨人戦で喫したプロ初黒星から、4敗目までの決勝点はすべて本塁打によるものだった。それ以来、7敗目までの決勝点は本塁打で奪われたものではない。何度も痛い目にあってきたからこそ、勝負どころでは被弾を回避できるようになった。この日、鈴木誠を封じた「低めツーシーム」が、鈴木啓示のいう「外角低めストレート」に該当するのかもしれない。新人10勝は偶然ではない。

 =敬称略
 (専門委員)

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