広島3連覇功労者の今村 戦力外通告に涙「覚悟していたけど、しんどい」今後については慎重

[ 2021年10月15日 05:30 ]

戦力外通告を受け囲み取材に応じる今村
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 広島は14日、今村猛投手(30)ら6投手に来季の契約を結ばないことを通告した。今村は16、17年と2年連続で60試合以上に登板してリーグ3連覇に貢献した右腕。だが今季はプロ入り後初めて1軍登板がなかった。今後については未定とし、熟考する考えを明かした。 

 戦力外通告を受けた部屋には、リーグ3連覇時の写真が飾られていた。チームの中心選手として、笑顔で記念撮影に納まった当時からまだ3年。「いつかは来ますから。覚悟はしていましたけど、いざとなると、ちょっとしんどいですね…」。鉄仮面の今村の目に浮かんだ涙が、通達の衝撃度を表していた。

 19年27試合、20年6試合と登板機会は減少の一途をたどり、今季は12年目にして初めて昇格なし。大きな故障もなく、ウエスタン・リーグではチーム2番目に多い36試合に登板した。防御率2・78と結果を残し続けても1軍から声はかからず、消化不良の日々を過ごしていた。

 「実力不足もある。隙があればと思いながら2軍ではやっていましたけど…。正直7、8回(の勝ちパターン)には、食い込めるんじゃないかなという気持ちはありましたね」

 そう言葉を絞り出した右腕に「戦力外」を伝えた鈴木清明球団本部長は、「今年は全く(1軍に)上がれない状態だった。うちで見ていくより、よそを探した方がいいのかもしれない」と説明した。若手から優先的に昇格するチーム事情も重なった。いくら実績があろうとも、厳しい立場から抜け出すことは容易ではなかった。

 それでも広島での12年間が濃密だったことに変わりはない。16、17年は2年連続で60試合以上に登板。中崎、ジャクソンらとともに「勝利の方程式」の一員としてリーグ3連覇を支えた。一番の思い出は「2016年の東京ドームの優勝の瞬間」。当時の輝きを取り戻そうと相当な覚悟で臨んだ今季だった。それだけに、今後については慎重に言葉を選ばざるをえなかった。

 「まだやれるかな…という気持ちもあるけど、だからやるというのも違うなと思う。今年1年ダメだったら自分から言いに行こうかなという気持ちでやっていた。ちょうど30歳。いろんなタイミングがあるのかなと思う」

 球団から今後についての打診はなかったもよう。3連覇に貢献した功労者が静かに広島を離れることになる。(河合 洋介)

 ◇今村 猛(いまむら・たける)1991年(平3)4月17日生まれ、長崎県出身の30歳。清峰では甲子園に2度出場し、3年春は優勝。09年ドラフト1位で広島入り。2年目から救援に回り、3年目の12年に自己最多69試合登板。16年から2年連続でチーム最多登板し18年までのリーグ3連覇に貢献。1メートル83、94キロ。右投げ右打ち。

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