【内田雅也の追球】今こそ「超積極的」 首位陥落の阪神 優勝への重圧か、減少傾向の盗塁

[ 2021年9月23日 08:00 ]

セ・リーグ   阪神1-2中日 ( 2021年9月22日    バンテリンD )

<中・神(19)>  3回2死一塁、一塁走者・近本はけん制球を受け帰塁する(撮影・大森 寛明)
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 阪神の問題が打線なのは論をまたない。1~3番はよく塁に出るが、4~6番で還せない。

 この夜は3回表2死満塁でジェフリー・マルテ、6回表無死二塁からマルテ、大山悠輔、ジェリー・サンズ、8回表1死一、二塁から大山、サンズと相次いで凡退、あと一打を欠いた。

 もう一つ、最近の戦いぶりで気になっていることがある。盗塁が減っているのだ。今季の月別盗塁数を並べてみる。カッコ内は試合数。

 ▽3・4月 21(29)
 ▽5月 22(19)
 ▽6月 22(23)
 ▽7月 6(13)
 ▽8月 18(16)
 ▽9月 7(16)

 9月に入り、ペースがダウンしている。チーム盗塁数97はリーグダントツ。だが、開幕から首位を快走していたシーズン前半は本当によく走った。それがチームに勢いを生んでいた。

 監督・矢野燿大が掲げる「超積極的」姿勢である。失敗を首脳陣はとがめず、選手は恐れない。勇気があったのだ。

 盗塁の3要素はスタート、スピード、スライディングの「3S」に加え「勇気」だと言われる。現役時代5年連続盗塁王となった赤星憲広(本紙評論家)は「3S+勇気ではなく、僕は勇気+3Sだと思う」と、勇気の重要性を説いていた。

 ところが、優勝争いが本格化する9月になり、知らずのうちに選手たちは恐怖に襲われているのかもしれない。優勝への重圧である。

 たとえば、3回表の近本光司である。2死から左前打で出た。「盗塁のチャンス」と中継の解説者が話していた。「失敗しても次の回は2番からの好打順で迎えられる」

 だが、近本は走らなかった。中野拓夢は左前打で一、三塁となったが、二盗を決めていれば、1点が入っていた。昨季盗塁王、今季も目下リーグ2位21盗塁の近本も9月は盗塁1個だけである。

 むろん簡単ではない。この時も3連続を含む4球のけん制球をもらっていた。警戒されていた。

 2回表には一塁走者・大山がけん制に誘い出され憤死している。中日先発の左腕・松葉貴大はモーションを盗むのが難しいのか、またはクセを修正していたのかもしれない。いずれにしても、ベンチから盗塁「青信号」が出ていても、事は簡単ではないのだろう。

 9回表も代走・植田海が走れなかった。前夜の9回表、決勝点を呼んだ島田海吏二盗のような芸当は至難の業なのだ。

 それでも――と勇気と奮起を望みたい。首位から陥落し、再び挑戦の気概も戻るだろう。重圧のかかる正念場、今こそ「勇気」を持ちたい。原点の「超積極的」を思い出したい。 =敬称略= (編集委員)

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