パイレーツ・筒香の完璧7号先制ソロから始まった乱打戦…メジャー史上初「逆転満塁弾3発」

[ 2021年9月7日 02:30 ]

ナ・リーグ   パイレーツ8ー11カブス ( 2021年9月5日    シカゴ )

<カブス・パイレーツ>初回、先制ソロを放つ筒香(AP)
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 パイレーツの筒香嘉智外野手(29)が5日(日本時間6日)、カブス戦の初回に2試合連発となる先制の7号ソロを放った。筒香の一発で幕を開けた試合は超乱打戦。メジャー史上初めて1試合で3本の逆転満塁本塁打が飛び交い、パ軍は逆転負けを喫した。6連敗で借金41。低迷するチームで筒香は来季へ評価を高める活躍を続けている。

 完璧だった。初回1死。筒香がデービーズの外角低めの79マイル(約127キロ)のチェンジアップを逆らわずに打ち返した。17年に17勝を挙げた右腕から、バックスクリーン左への7号ソロ。8月20、21日以来今季2度目の2戦連発は、2試合続けて初回の先制弾になった。

 メジャー2年目の今季、レイズとドジャースでは本塁打0。しかし新天地では19試合で7本目だ。しかも12安打のうち長打が11本。好調の要因には日米の投手の「間」の違いに順応できるようになったことを挙げており「結果的に(打撃の)始動が早くなっている」と手応えを口にする。

 幸先のいい一発だったが両軍合わせて6発が飛び出した一戦は、めまぐるしく動いた。パ軍は2回に2点を奪われて逆転されて迎えた3回。無死二、三塁で筒香が四球を選んで満塁となり、レイノルズが逆転の22号満塁本塁打を放った。だが、その裏、カ軍・ダフィーの3号満塁弾で逆転を許す。パ軍が再度逆転も、7回にはシュウィンデルの10号グランドスラム。リードが6度も入れ替わる激しいシーソーゲームは、メジャー史上初の1試合3本の「逆転満塁本塁打」で決着した。

 カ軍のアンディ・グリーン監督代行は「ばかげている。1日に2本の満塁弾が出れば勝つチャンスは増えるよ」。対するパ軍のデレク・シェルトン監督は「非常にイライラしている」と苦虫をかみつぶした。

 4時間12分の熱戦。終わってみればパ軍は8―11で敗戦。チームも6連敗で借金41。そんな中、筒香はメジャー1年目だった昨季の8本塁打にあと1本と迫った。残り25試合。そのバットで、メジャーで確固たる地位を築く。

 ≪「逆転」に限らなければ6年ぶり5度目≫MLBで1試合満塁本塁打3本は最多タイで、15年4月21日のブルワーズ―レッズ戦以来6年ぶり5度目となった。そのうち4度が2本、1本と両チームが放っての達成で、1チームによる3本の満塁弾は11年8月25日のヤンキースのみ。3本が全て逆転満塁本塁打は史上初となった。

 ≪NPBでは過去1度≫NPBでの1試合満塁弾3本は1度だけ。96年5月25日の近鉄―オリックス戦(藤井寺)で、まず3回に近鉄の内匠が右翼へ満塁弾。5―9の7回にはオリックスの1番打者だったイチローが、1死満塁から右翼へ同点のグランドスラムを放った。その裏、近鉄・中村紀が左翼へ勝ち越し満塁弾。イチローが9回にもソロを放つも、試合は敗れた。

 ≪1チームで3本はヤンキースのみ≫MLBでの1試合3本の満塁弾試合に、松井秀喜も出場していた。11年8月25日のヤンキース―アスレチックス戦。1本目は2―7で迎えた5回1死から、ヤンキースのカノが右越え満塁弾。6回にはマーティンが右中間へ逆転のグランドスラム、8回にグランダーソンが3本目の満塁弾を放った。1チームによる1試合満塁本塁打3本はMLB史上初で、現在も唯一の記録。松井はア軍の「3番・DH」で出場し、初回に先制犠飛など2安打1打点も、古巣の猛打に「今日は相手の攻撃が上回った。仕方ないですね…」と話すのがやっと。ヤ軍・ジーターは「おそらく二度と見られないだろう」と話していた。

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