静高、甲子園! プロ注目右腕・高須 静岡大会自身37イニング無失点で導いた

[ 2021年7月29日 10:50 ]

第103回全国高校野球選手権静岡大会決勝   東海大静岡翔洋0―4静岡高 ( 2021年7月29日    草薙 )

<東海大静岡翔洋・静岡>2大会連続の甲子園出場を果たし、スタンドに向かってかけ出す歓喜の静高ナイン
Photo By スポニチ

 酷暑のマウンドで“高須大明神”が仁王立ちした。甲子園へのラストボールは二ゴロでフィニッシュ。長身1メートル92を誇る静岡高のプロ注目最速146キロエース右腕・高須大雅(ひろまさ、3年)は、すかさず雄叫び交じりに右手を突き上げ、その後はイメージ通りに自分を目掛けて集まってきた仲間とともに歓喜の輪を描いた。準決勝まで勢いに乗っていた東海大静岡翔洋打線に1度も三塁を踏ませることなく、6回2死までノーヒッターの快投で散発2安打8奪三振完封。しかも今大会37イニング連続無失点のまま締めくくった。県大会を防御率0・00で終えたのは、1981年第63回大会を制した浜松西の宮田守啓投手(58)以来。

 「決勝でノーヒットノーランをすれば格好良いかなと。途切れて次に切り替えました。秋春悔しい思いをして甲子園で勝つためにやってきました。本当にうれしかったです」

 13年ぶり連覇で金メダルを獲得した東京五輪女子ソフト日本代表のエース上野由岐子(39)になったつもりで腕を振った。決戦前夜、座馬礼央一塁手(3年)ら下宿仲間とテレビ観戦し感動。「明日は俺たちがあ~なろう」と誓い合った。初回から魂のこもったボールを川端慶捕手(3年)のミットに投げ込んだ。走った直球を主体にハイテンポの間で、昨年11月の静岡市内大会で打ち込まれた中軸打線を飲み込んだ。「9回2死で勝利を確信しました」と笑顔でうなずいた。

 過去に高須が自滅したのは、熱中症で右腕に力が入らなくなり逆転負けを喫した掛川西との今春県準決勝しかない。この日のように「疲労なく体調万全」なら好投は必然。打線が普通に機能すればある意味優勝は自然の流れと言っても過言ではない。試合前会見で「投手戦。先制点を取った方が勝ちに結びつく」と公言した原俊介監督(43)率いる翔洋に対し、入りからジャブを繰り出す。初回1死から主将で2番・金子裕人右翼手(3年)が泥臭く二塁内野安打で出塁し二進。すると続く座馬(ざんま)礼央一塁手(3年)が右前に2戦連続先制の適時打だ。2回にも1点を追加し、5回には4番・池田惟音左翼手(3年)がダメ押しに近い右越え2ラン。リーダーは「初回あの内野安打で勢い付けられた。自信を持って入れましたし、勝てると思って戦えたことが勝因です」と胸を張った。

 静高は現在、夏の甲子園4戦連続初戦敗退中。フルスイングによるただ打つだけのチームから、小技や機動力を主体的に発揮し攻撃力に幅を利かせられるように進化したナインが、“高須大明神”という武器を引っ提げ聖地に乗り込む。(小澤 秀人)

続きを表示

2021年7月29日のニュース