阪神・伊藤将 就任3年目・矢野監督の初“闘魂注入”に応えて7回零封の5勝目

[ 2021年7月4日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神5-0広島 ( 2021年7月3日    マツダ )

<広・神(9)>7回2死満塁のピンチに、自らマウンドへ向かい伊藤将(背番27)を激励した矢野監督(右から3人目)(撮影・成瀬 徹)             
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 阪神は3日の広島戦に臨み、5―0で快勝した。負ければ首位陥落の可能性もあった一戦で、ドラフト2位・伊藤将司投手(25)が7回を4安打零封。今季5勝目を挙げるとともに、チームの連敗を2でストップした。7回2死満塁のピンチでは矢野燿大監督(52)が、就任3年目で初めてマウンドへ向かい激励。指揮官の熱い思いに応える好投だった。

 伊藤将は監督の思いも背負って腕を振った。2―0の7回2死満塁。矢野監督から「お前に任せた」とハッパをかけられた。何としても、抑えるしかない! 余力を振り絞り、代打・松山を二ゴロ。ポンっとグラブをたたいて颯爽(さっそう)と三塁ベンチへと戻った。

 「ここ(7回のピンチ)はしっかり抑えてやろうという気持ちになりました。監督さんの一言を頂いてそこで引き締まったので、期待に応えられて良かったです」

 2死一、三塁から、ストレートの四球で石原を歩かせ全ての塁が埋まった。次打者席では松山が準備。負ければ首位陥落の可能性もあった一戦のターニングポイントで、マウンドへ駆けつけたのは何と矢野監督だった。就任3年目、通算337試合目で初の出来事。指揮官の執念を受け止め、外角カットボールでピンチを脱した。矢野監督は言う。

 「俺の中で、交流戦の時に勇輝(西)からサダ(岩貞)にスイッチしたところでも、後から思えば“あそこでマウンドに行けば良かったな”という自分なりの反省があって。俺がマウンドに行って何ができるわけでもないし、応援することしかできへんけど、何とかもう一人頑張ってほしいところやったから」

 2連敗中のムードを払拭(ふっしょく)するべく、丁寧な投球を続けた。4回まで1四球のみの無安打。1点優勢の5回には連打で無死一、三塁を招いたが、中野の好守もあり「0」で防いだ。7回を4安打無失点。規定投球回にも、残り1回1/3まで迫った。

 どんな状況でも気持ちは熱く、表情は冷静だ。JR東日本時代から好影響を受けているのが、オリックス・能見。マウンドで一切の感情を封じ込めるスタイルに「表情を表に出すと、相手にも苦しいことがわかってしまうので、意識している」と感化された。負けず嫌いの性格もあり、弱みをみせることを嫌う。その粘り強さが、防御率2・23という数字につながっている。

 2位・巨人との首位争いは当面続くが、それも望むところだろう。6月12日楽天戦以来となる5勝目。頼れる新人左腕が、虎の窮地を救った。(長谷川 凡記)

 ▽矢野監督のマウンド激励 過去には19年9月29日のメッセンジャーや、20年11月10日藤川球児の引退試合で自らマウンドに出向き、労をねぎらったことはあったが、勝負のかかった場面での激励は19年の就任以降、今回が初めて。

 ○…伊藤将(神)が7回を無失点で5勝目。阪神新人投手のシーズン5勝は14年岩崎の5勝以来7年ぶり。登板11試合目の5勝到達は07年上園啓史の11試合目(8月22日)以来のペース。13年に伊藤将と同じく新人で開幕ローテ入り、10勝を挙げた藤浪の5勝目は12試合目の7月7日と、試合数、日付とも今回が勝っている。
 ○…この日を終えての投球回は72回2/3(自責点18、防御率2・23)。規定投球回(=チーム試合数)の74回には1回1/3足りなかったが、仮に無失点のまま74回に到達していれば防御率2・19。青柳(神)2・02に次ぐリーグ2位でランキング初登場していた。なお2リーグ制以降、阪神新人投手のシーズン規定投球回到達は95年の川尻哲郎まで9人。防御率トップは59年村山実の1・19でセ新人記録。

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2021年7月4日のニュース