中畑清氏 “マン振り”阪神・佐藤輝の積極性がチームに浸透

[ 2021年4月20日 05:30 ]

中畑清氏
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 【キヨシスタイル】強いなあ。びっくりするくらい強い。去年は開幕12試合目で10敗一番乗りした阪神が今年は一転、15勝4敗と開幕ダッシュに成功した。

 チームバランスが凄くいいんだよね。チーム打率・262、チーム防御率2・21だけじゃない。18本塁打、18盗塁もリーグNo・1なんだ。

 なかでも驚くべきは先発投手陣だ。藤浪、青柳、ガンケル、西勇、伊藤将、秋山の6人。開幕から19試合全て5回以上投げ、先発全体の防御率は1・54。これだけ安定していたらベンチは落ちついて野球ができる。

 リリーフ陣もいい。先制した15試合は全勝。先に点を取って先発が踏ん張り、7回以降は岩貞、岩崎を挟んで抑えのスアレスへ。逃げ切りパターンが確立されている。

 投手陣がしっかり抑えてくれるから、野手は焦らないですむ。開幕直後当たりが出なかった近本や大山を糸原やサンズがカバー。チームが勝つことによって重圧を軽くしてもらった打者が、そのうち打ち始めるという好循環だ。

 去年は開幕でつまずきながら60勝53敗7分けの2位でフィニッシュ。着実に力をつけてきたチームに勢いをつけたのは、やっぱり佐藤輝だね。

 キャンプから話題を独占してきた超大物スラッガー。開幕してもフルスイングを続けている。6番に座り、チーム最多タイの5本塁打。その一方で、両リーグ最多の30三振を喫している。でも、空振りを恐れて当てにいったりはしない。

 常にマン振り。タイミングさえ合えば、ハマスタ場外弾のようにどこまで飛んでいくか分からない。ひと振りで空気を変える魅力。結果を恐れない姿勢がチーム全体に浸透している。野球で一番大事なのはミスを恐れず、積極的にプレーすることなのだ。

 この佐藤輝がドラフト1位なら、先発ローテーション唯一の左腕、伊藤将は2位。8番ショートでいい仕事をしている中野は6位。ルーキーが3人同時に活躍しているのも相乗効果だ。

 佐藤輝の存在感に乗っかって勝ちまくる阪神。今この勢いを止められるのは巨人しかない。20日からの東京ドーム3連戦。新外国人の起用も含め、原監督がどんな手を打つか。序盤のヤマ場。見逃せない戦いになる。(スポニチ本紙評論家・中畑 清)

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2021年4月20日のニュース