ソフトバンク・小久保ヘッドコーチインタビュー(上)主力にハッパかけるスパイス的役割に

[ 2021年1月4日 10:30 ]

ペイペイドームを背に笑顔でポーズする小久保新ヘッドコーチ(撮影・岡田 丈靖)
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 5年連続日本一を目指すソフトバンクのキーマンが、新春から燃えている。今季、小久保裕紀ヘッドコーチ(49)が就任。かつてホークスで大活躍し、侍ジャパンの指揮官も務めた男が古巣で腕をふるう。スポニチでは2回に渡って新ヘッドコーチの抱負を、たっぷりお届けする。(聞き手・井上 満夫)

 ――古巣に復帰。オファーが届いたときの率直な感想は。
 「侍ジャパンの仕事をして間が空いたが、NPBの12球団の中で、改めて指導者として戻るのであればホークスだと自分の中では思っていた。率直に、恩返しできる機会をまず頂いたなと。それが一番、率直な気持ちでしたね」

 ――ヘッドコーチという役割でオファー。
 「工藤監督から“野手の部分がね”と。本人が投手出身なので投手にはある程度、手応えがあって見ての通り、若い選手もしっかり育っていて。打者、野手の部門は…という話だった。そのところで“一緒にやらないか”ということだった。主に野手をしっかり強化していく役目なのかな、という感じはしますね」

 ――就任会見では自身を「副社長」と言っていた。理想のヘッドコーチ像はあるか。
 「ヘッドコーチ像というか、侍ジャパンで権藤(博)さんに投手コーチをしてもらっていたとき、“どうしましょう?”じゃなく“こうしましょう!”と言ってくれた。“こうしましょう”を“いや、でもこうする”とトップが言えたら断れない。“どうする?”と言われたときってトップは大変だなと感じていたので、権藤さんみたいな“こうしましょう”という意見をしっかり言える方が助かるし、いいかなと。あとは工藤監督とこれから話してみますけど」

 ――扱いづらい選手をつくらないという話も会見で言っていた。
 「選手に気を使い過ぎて結局、ダメなものはダメと言えない環境となるのは、間違いなく弱くなっていく最初(の現象)だと思う。そういう主力をつくらないのはホークスのいい部分と思うので。“ダメなものはダメ”と言えるだけの話。特別厳しくというわけではなく“ダメですよ”と言える存在ではいようと」

 ――リーダーとしてやる意識はヘッドコーチでも変わらないか。
 「僕の組織に対する考えは、役職を飛び越えてはいけない、立場をわきまえる、ということ。組織の中では大切。トップ、ボスは、監督。監督の意向に沿って選手とコーチ陣とのパイプ役になるのが、まず仕事なので。その辺は監督とコミュニケーションを取ります。“ここは任せた”の部分は自分でやるが、そこは、あくまでもトップは監督ですから」

 ――解説者時代に宮崎キャンプにも顔を出していた。今季の練習のイメージは。
 「まず、どれだけ練習をこなしているのか、から。解説者のときの1日だけじゃ分からなかった。バットを振る量だったり、しっかり見ていきたい。若い選手は、ある程度、首根っこつかんででもやらせないといけない時期がある。あと(現役時から)思っていたのは、プロの技術が分かるようになる中、高校生に対し“プロの技術を盗みたいな”と思わせること。中高生に“キャンプを見に行くならホークス。勉強になる”と思わせるのが合言葉で、凄く意識してやっていた。その部分も、2月からの楽しみですね」

 ――キャンプ前の自主トレの重要性とは。
 「ある程度、メニューは伝わっていると思うが、僕ら(が現役)のときは秋山さん、工藤さんから、2月のチーム練習を軽くこなせるくらいに“自主トレは走り込まないとダメだ”と言われていた。僕の考えは、キャンプは技術練習の場。僕は1日1000スイングを課していたが、それができる体力を養うのが自主トレ。今の選手は自主トレでそこまで追い込んでこないと聞く。体力をキャンプで強化をしないといけないのか、と。体力のベースをキャンプでつくるのか?俺ら(の時代)と違うが、どうなのか。そこは入って見てからですね」

 ――キャンプからこだわりたい部分とは。
 「当たり前のプレーや声出しを、当たり前にしていくように持っていく。2月は個々のレベルアップも必要。栗原、周東あたりは、まだレギュラーじゃないので。3年成績を残してレギュラー。そういう選手がいい段階を上がれるようなサポートはしていかないと。その中には絶対的に、振る量は必要」

 ――若手を鍛え上げるのも楽しみか。
 「俺の場合は若手じゃなく、主力たちではないの(笑い)。主力は“やれ”と言っただけでは、やらないだろうし。ピリっとスパイス的な、そういう存在は必要だと思うので。そこを監督に求められて声掛けられたと思う。頭ごなしに厳しくするわけじゃない。主力がしっかりした中で引っ張れるチームにするのが、凄く大切なこと。そこはぶれないでやりたいですね」

 ――指導する上で重要視していることは。
 「一番、大切なのは選手を迷わさないこと。監督にこう言われ、コーチにこう言われ、別の先輩にこう言われ…。一体、自分はどれを信じていいのかと。それを選べる選手ならばいいけど、まだそういう選手も少ないと思うし。その辺の整理も、入ってみてからですけどね」

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