近大・佐藤 リーグ新14号で二岡氏超え!“持っている男”親族9人観戦の中で一発

[ 2020年10月19日 05:30 ]

関西学生野球秋季リーグ   近大9-7関大 ( 2020年10月18日    ほっともっと神戸 )

<関大・近大>タイブレーク11回無死一、二塁、3点本塁打を放つ近大・佐藤(撮影・後藤 正志)
Photo By スポニチ

 阪神、巨人などが今秋ドラフト1位候補に挙げる近大・佐藤輝明内野手(4年=仁川学院)が18日、関大1回戦(ほっと神戸)で関西学生リーグ通算14本塁打を記録。1998年に母校の先輩・二岡智宏(現巨人3軍監督)が記録した通算13本塁打のリーグ記録(82年の新リーグ創設以降)を塗り替えた。負ければ優勝が遠のく一戦。勝敗の分岐点で大砲が持ち味のパワーと勝負強さを見せつけた。

 夕闇に描かれた美しく高い弧は、右翼席中段まで伸びていった。6―6で迎えたタイブレークの延長11回無死一、二塁。佐藤がこん身の一振りで勝負を決めた。

 「打った瞬間、行くと思った。うまく拾えた」

 関大6番手・桃尾の投じた116キロをフルスイング。打った球は「良く覚えていない。低めの真ん中か、内寄りか…」。集中の極地で放った会心の一発だった。

 本塁打までの5打席は4打数無安打。0―4の5回2死満塁では一ゴロ、5―4の8回1死二、三塁では申告敬遠で一塁へ歩かされるなど不本意な内容が続いた。

 「それまでが全然、打てていなかった。最後は強く打つことだけを考えた。チームメートに助けてもらって、回してもらった」

 打線は8回に4点差を逆転し、投手陣も5投手の継投で粘り抜いた。チーム全員が死力を尽くした結果、11回の好機に打席が巡ってくる展開となった。この日は7球団のスカウトが視察。すでに今秋ドラフトでの1位指名を公表しているオリックス・下山真二スカウトは「みんなが期待している場面で決められるのが素晴らしい。そういう星のもとに生まれてきた選手」とうなずいた。

 仁川学院で高校通算20本塁打を放った佐藤だが、甲子園大会出場経験もなく全国的には無名。高校3年時、複数大学のセレクションを受けたが「合格」は得られなかった。そんな中、紹介を受けて練習に参加させた田中秀昌監督(63)は即座に獲得を決めた。「あんな選手、見たことがなかった」。捕手でテストし、手元のストップウォッチで二塁送球完了タイム1・8秒台を計測。運動能力の高さを確認すると、その後の打撃練習ではスケール感に度肝を抜かれた。「ウチは有名校出身の選手もたくさんいるが、無名校の子が頑張って、プロに行くというのもいい。最初は扇風機みたいだったけど」。2014年の監督就任以降、大学から直接、プロに送り出したのは巨人・畠とオリックス・村西。両選手とも甲子園大会出場経験はない。

 スタンドでは両親と父母両方の祖父母、叔母、2人の弟と9人の家族、親戚が観戦。本塁打の瞬間、父・博信さんを中心に歓喜の輪ができた。宮城県柴田郡在住の父方の祖父母と下の弟・悠さん(9)は今季初観戦。幼少時に初めて野球を教えた祖父・勲さん(81)も、コロナ禍の自粛期間中は一緒に練習し、兄のことが大好きな悠さんも、皆が満面の笑顔だった。ホームランボールについて佐藤は「モノにこだわりがないので、親にあげようと思う。親戚も来ているので、いいところが見せられて良かった」と照れくさそうに笑った。

 母校の先輩の大記録に肩を並べ、22年ぶりに更新した。「偉大な先輩の記録を更新できて嬉しいです」と事の重みは理解する。ただ「記録を更新したいと思ってやってきたことはない。勝ちたい、打ちたいと思ってやってきて、その積み重ね」と振り返る。19日の2回戦が大学野球最後のリーグ戦。負ければ優勝が遠のく状況に変わりはない。勝って、打って、リーグ戦を締めくくる。

続きを表示

この記事のフォト

「始球式」特集記事

「田中将大」特集記事

2020年10月19日のニュース