ヤクルト・歳内 “不屈”の84球 NPB復帰5回2失点「チームが勝てたことが良かった」

[ 2020年9月17日 05:30 ]

セ・リーグ   ヤクルト3―2DeNA ( 2020年9月16日    神宮 )

<ヤ・D>移籍初登板で5回2失点の力投を見せた歳内(撮影・島崎忠彦)
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 打たれた悔しさが全身を貫く。そしてチームの勝利に喜びがこみ上げた。ヤクルトのユニホームを着て、NPBの、1軍のマウンドに歳内が戻ってきた。移籍後初登板。ひたむきな84球が輝いた。

 「むちゃくちゃ緊張してたので(拍手も)分からなかった。まずはチームが勝てたことが良かったです」

 16年4月27日の巨人戦以来、実に1603日ぶりとなる1軍マウンドだ。震えるのも無理はない。でも、歳内は一球一球をかみしめるように、全力で腕を振った。立ち上がりから毎回安打。走者を背負いながら高校(聖光学院)時代からの代名詞であるスプリットでカウントを取り、内野ゴロを打たせた。5回を8安打2失点。秋の気配が漂う神宮で大粒の汗を滴らせて投げる姿に苦労がにじんだ。

 11年ドラフト2位で阪神に入団も右肩故障などもあって2勝に終わり、19年オフに戦力外通告を受けた。四国アイランドリーグplus・香川を経て今季中に異例の移籍。その香川では専用球場がないため、時に公園や河川敷で練習した。「今までが恵まれていたと感じた」。刺激になったのは厳しい環境でもドラフト指名を目指す若い選手たち。プロでの経験を伝えることで自らもまた学んだ。独立リーグでのプレー経験のある高津監督は「歳内はよく投げた。独立に行って、成長して戻ってきたことが見て取れた」と評価。シーズン中に獲得に動いたのは、歳内のそんな「雑草魂」が周囲に与える影響も理由だった。

 1点リードの5回に逆転を許し降板。それでも歳内の勝利への執念はナインに伝わった。野手陣が再三の好守を見せ、7回には代打攻勢で逆転。勝ち星はつかなくてもチームの連敗は6で止まった。

 「次は投げるからには勝ちたい」と歳内。苦労人が最下位に沈むチームに必要な「ひたむきさ」を体現した。 (秋村 誠人)

 ◆歳内 宏明(さいうち・ひろあき)1993年(平5)7月19日生まれ、兵庫県出身の27歳。聖光学院では2、3年夏の甲子園に出場。11年ドラフト2位で阪神入団。3年目の14年7月30日のヤクルト戦で初勝利。19年オフに戦力外。通算成績は57試合で2勝4敗、防御率4.15。今季は四国・香川に所属し今月6日にヤクルトと年俸600万円で正式契約。1メートル84、90キロ。右投げ右打ち。

《歳内のこれまで》
 ▼11年10月27日 ドラフトで阪神から2位指名。聖光学院出身で初のプロ野球選手。
 ▼12年9月2日 広島戦(甲子園)で1軍デビュー。5回1失点も白星ならず。
 ▼同13日 練習中に腰痛発症。そのまま1軍再昇格なくシーズン終了。
 ▼14年7月30日 ヤクルト戦(甲子園)に2番手で救援登板。1回無失点に抑えプロ初勝利。
 ▼17年11月16日 右肩痛のリハビリに専念で、育成選手契約に移行。
 ▼18年7月30日 支配下選手に再昇格。
 ▼19年10月2日 戦力外通告。
 ▼11月12日 12球団トライアウトに参加。
 ▼12月26日 四国・香川への入団発表。
 ▼20年6月20日 徳島との開幕戦(レグザムS)で先発し、11奪三振の完封勝利。
 ▼9月6日 ヤクルトと正式契約。

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