国際武道大・岩井監督が語る巨人・原監督のルーツ 藤田元監督から引き継いだ人を動かす「言葉の力」

[ 2020年9月12日 05:30 ]

巨人・原監督 球団歴代最多1067勝

80年12月、原辰徳選手(中央)の入団発表で正力オーナー(左)らと握手する藤田巨人監督
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 東海大時代の3学年先輩で国際武道大の監督を務める岩井美樹(よしき)氏(65)が、原監督のルーツを語った。同氏は80年ドラフト1位で原監督を引き当てた恩師・藤田元司元監督(享年74)の長女と結婚。藤田氏から原監督へ受け継がれた思いとは――。

 辰徳は万年青年ですよ。いつ会っても。巨人では史上初の3度目の監督。藤田のお父さんも2度で「それ以上やったら体が持たない」と言っていました。

 現役時代に辰徳が「岩井さん、(藤田)監督に怒られたことありますか?僕はね、よく怒られます」と尋ねてきたことがありました。基本的には瞬間湯沸かし器ですが、辰徳が可愛かった。最初から「監督まで育てよう」と思っていたんだと思います。「今日も辰徳を叱った。これが財産になるだろう。原のおやじさん(父であり東海大相模、東海大監督の貢氏)に鍛えられているから、あいつは少々のことではめげないから」と話していたことがありましたから。

 藤田さんは人を動かすのが上手でした。基本的に監督は、言葉のテクニシャンじゃないと駄目です。自分が投げて打ってと見せる年でもない。「褒め上手じゃないといけない」と辰徳と食事する時によく言っていました。どうしたら人が動くか、ということです。

 辰徳は私が授業を持つ国際武道大に16年連続で特別講義に来てくれている。最初の頃は「事前打ち合わせをしてくれないから」と緊張しながら来ていたと聞きました。「(授業内容が)ちょっとやばかったかな」と思ったら、授業後に僕の研究室に来ていました。ですが、ここ3年は“スッ”と帰っていきます。最近は言葉に自信があるんだと思います。

 今は、監督が責任を負う采配をしているように感じます。打席途中での継投など思い切ったことをしていますよね。藤田のお父さんは「経過は大切だ。しかし結果が全てだ」とよく言っていました。監督として結果が駄目だったらアウトですから。3度目の就任が決まった時は「集大成だから頑張ります」と言ってました。重圧の中で球団歴代1位の1067勝。凄いですね、本当に。(国際武道大野球部監督)

 ◆岩井 美樹(いわい・よしき)1955年(昭30)4月6日生まれ、千葉県出身の65歳。銚子商で3年春夏など3度甲子園に出場。東海大に進み、卒業後の81年に同大野球部監督に就任。首都大学リーグで8度、優勝を果たした。89年からは国際武道大野球部の監督を務める。体育学科教授。

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