聖光学院 史上最多タイの夏14連覇達成 昨秋ベンチ外のエース舘池 2安打完封!

[ 2020年8月8日 05:33 ]

斎藤監督(前列中央)と優勝を喜ぶ聖光学院ナイン
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 「福島2020夏季高校野球大会」は7日、決勝戦が行われ、聖光学院が光南に6―0で快勝し、夏14連覇を達成。戦前の和歌山中(現桐蔭)の地方大会連続優勝記録に並んだ。先発のエース・舘池亮佑(3年)が三塁を踏ませない完璧な投球を見せ、わずか2安打で完封した。17度目の優勝を果たした絶対王者は東北大会(明日開幕、宮城県)の出場権を獲得し、10日の初戦・準決勝に臨む。

 歓声が響かない球場にいつものメロディーが流れた。「ああ 我が母校 聖光学院」。コロナ対策で声は出せなかったが、心の中で熱唱した舘池は、14連覇を実感した。斎藤智也監督(57)と握手を交わすと、涙で顔がくしゃくしゃになった。

 「やっと終わった。最後まで腕を振っていけた。うれしいという気持ちもあるし、ホッとした気持ちもある。良い脱力感です」

 2回と6回に安打を許したが、「コースに投げず、真ん中で良い」と真っすぐ中心の強気の投球で後続を断ち切った。「苦しい回はなかった。気持ちで投げられた」。106球を投げて、三塁を踏ませない完璧な投球。斎藤監督も「投球は任せていた。ここまでのエースになると思わなかった」と褒め称えた。

 背番号1を背負うまでの道のりは、決して平坦(へいたん)ではなかった。右肘の剥離骨折や神経痛で2度離脱。昨秋はベンチ入りメンバーからも外れた。心配した母・恭子さんから電話を受けた舘池は、「俺は絶対覚醒する」と誓った。王者の根源の“不動心”でリハビリを続け、最後の夏に3つの完投勝利で防御率0・54。聖光の“不動のエース”となった。

 内山主将が「神様の采配」というミーティングが転機だった。打球が相手の正面を突いて1―0の辛勝だった先月23日の初戦・日大東北戦の後、斎藤監督から「“球運”が悪いのはだらしないから。改善しろ」と指示を受けた。ナインは飛球で凡退しても二塁まで走り、30分早く起きて寮周辺のゴミを拾うなど、野球への姿勢と生活面を改めた。迎えたこの日の決戦では、「大きな当たりも失速したし、運が良かった」(舘池)と“野球の神様”を振り向かせ、完勝につなげた。

 昨秋の県大会では初戦の学法石川戦でコールド負けした「最弱チーム」。甲子園という目標が消滅し、公式戦0勝1敗で迎えた今大会だが、連勝記録を84に伸ばして偉業を達成した。東北大会に向け、舘池は「自分たちの野球を貫くだけ」と静かに闘志を燃やす。苦しみと悲しみを乗り越えた“特別な夏”でも、聖光の強さは特別だった。(近藤 大暉)

 ○…内山連希主将(3年)が突破口となり、光南の二枚看板を攻略した。2回1死二塁で初球を叩いて先制打。続く3回には4番・畠中子龍(3年)の中前2点打で4―0と突き放し、12安打を放って矢田部、國井を粉砕した。内山主将は「試合を楽しめた。“やってきたことを出すだけ”と開き直れた」と頬を濡らした。

◆聖光学院ナイン 喜びの声 カッコ内の数字は背番号
(1)舘池亮佑 優勝できて良かった。東北大会でも一戦一戦全力を尽くす。
(2)小野大輔 「心の中の甲子園」という言葉を掲げ優勝できて良かった。
(3)畠中子龍 東北大会では3年間積み重ねたことを出し切りたい。
(4)海野卓人 3年間積み重ねたことを最後に出し切ることができた。
(5)佐藤銀時 甲子園はなくなってしまったが、一日でも長い夏にしたい。
(6)内山連希 甲子園はなくなったが、最後まで生き残って全力を尽くす。
(7)藤原楓凡 自分たちのできることを引き続き東北大会でも頑張る。
(8)小林聖 県代表として東北大会では恥じない戦いをしていく。
(9)杉山諒 負けたチームの分も背負って、最後まで生き延びたい。
(10)田口嵩人 仲間のために東北の頂点を目指してやり切りたい。
(11)小松優都 一試合でも長くこのメンバーで野球をやっていきたい。
(12)川島浩輝 心の中の甲子園の目標の下、最後までやり通す。
(13)小賀坂成耶 仲間達のために野球ができて良かった。
(14)四栗叶夢 福島のチームの思いを背負って東北大会でも頑張りたい。
(15)藤田竜輝 特別な思いを持って一日でも長い夏にしたい。
(16)箱山直暖 東北大会で優勝して福島県に帰ってきたい。
(17)齋藤智樹 今まで自分たちがやってきたことを最後までやり切りたい。
(18)星匠 小さな村から出てきた自分にとって優勝は最高だった。
(19)坂本寅泰 先輩に負けを付けないためにも自分の役割を貫き通せた。
(20)吉田晃大 今まで苦しいことがあったが県優勝で全て乗り越えられた。

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