出番は自分で奪い取れ! 阪神前監督・金本知憲氏 高山、大山の奮起に期待

[ 2020年6月30日 05:30 ]

阪神・高山
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 【金本知憲の虎への金言】阪神前監督で本紙評論家の金本知憲氏が、阪神について語るコラム「金本知憲の虎への金言」(月1回掲載)がスタート。第1回は開幕からの苦戦を踏まえ、現役時代からの盟友でもある矢野燿大監督(51)の胸中を気遣い、監督時代の教え子だった高山俊外野手(27)や大山悠輔内野手(25)らの奮起を望んだ。

 監督を経験した者として矢野監督はじめコーチの気持ちはよく分かる。勝てるときは何もしなくても勝てるのに、勝てないときは何もやってもうまくいかない。そういう時期はある。

 試合をつくるのは投手、試合を動かすのは野手。この両輪がかみ合わないと苦しい。どうすればいいか? そんな打開策が簡単に見つかれば、こんなに楽なことはない。それが分かれば、誰でも勝てる。打線を動かせば、コロコロ変えるな、固定すれば、策がない、と言われる。監督は本当につらい。

 長いシーズンで見れば、チームには必ず波がある。下降線がたまたま開幕の時期に来たのかもしれない。いまは何かが起きるのを辛抱強く、我慢強く待つしかない。もちろん、待つだけではなく、矢野監督もいろいろなことを考え、手を打っているはずだ。

 チームと同じように個人にも調子の波がある。近本は確かにいいスタートを切れなかった。打席での読みが外れているのか。ちょっとした体のバランスの違いでスイングが崩れているのか。本人と話をしてみないと分からない。それだけ打撃は繊細なものだ。ただ、まだ9試合が終わっただけ。昨季の打撃を見る限り決定的な弱点があるわけではない。単に調子の波の問題なら、これから上がってくると思う。

 監督の立場で言えば、起爆剤になる選手が出てきてほしい。本来なら、高山や大山たちに、その役割を担ってほしいところだった。だから、少しさみしい気持ちで見ている。2年目を迎えたマルテは選球眼が良くなり、状態がいい。ボーアも主軸と期待して獲得した選手。サンズも初出場で結果を出した。彼ら外国人選手が、いま優先的に使われるのは当然だ。

 高山や大山らは昨季までたくさんチャンスをもらった。その時につかみ切れなかったから、いま打席に立つ機会が減った。この状況を招いたのは他の誰のせいでもない。自分たちの問題だ。出番がない…と下を向いていてはいけないし、そんなことはないと信じたい。決して出番がないわけではない。限られた数少ない機会をどう生かすか。与えられるのではなく、自分で奪い取るしかない。強い気持ちで挑んでほしい。

 他球団ではDeNAがいいスタートになった。筒香が抜けてどうなるか…と見ていたら、打線は変わらず強力だし、投手陣もいい。ただ、これも、まだ9試合が終わっただけ。いまかみ合っているからと言って、ずっと続くとは限らない。

 タイガースもまずは個々の選手が状態を上げること。好転を期待して待ちたい。

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