阪神・メッセがエースになった夜――外国人開幕投手48年ぶり白星

[ 2020年4月13日 05:30 ]

開幕よ、来い――猛虎のシーズン初戦を振り返る

13年3月29日、球団の外国人としては48年ぶりに開幕白星を飾ったメッセンジャー(右)
Photo By スポニチ

 【2013年3月29日 神宮球場 阪神9―3ヤクルト】ランディ・メッセンジャーが名実ともに猛虎のエースになった夜だった。球団の外国人投手では87年のキーオ以来26年ぶりの開幕投手を務め、65年のバッキー以来、実に48年ぶりの開幕戦白星をつかんだ。

 「すべての球種を投げられて良かった。全体的には納得できる内容だったね。チームの開幕戦勝利に貢献できて良かったよ」

 序盤から快調に飛ばした。最速151キロの直球とカーブ、フォークの緩急自在の投球で4回までに6奪三振で圧倒。一時同点を許した5回も2死一、二塁を切り抜け、直後の決勝点を呼んだ。

 10年に加入して当初期待されたセットアッパーとしては役目を果たせず、降格した2軍で先発挑戦を決意。自主的なロードワークなど地道に体力強化に取り組み、カーブも磨いた。先発デビューは助っ人としては異例の社会人との“育成試合”。文字通りゼロからの出発だった。

 11年から先発陣に定着して2年連続2桁勝利を挙げ、存在感を高めていった。能見篤史が第3回WBCの日本代表に選出され、開幕投手としての調整が難しくなった事情も重なり、3月上旬の段階で監督の和田豊から大役を伝えられた。米国時代にも「覚えていない」という晴れ舞台。開幕前夜には「明日の1勝は10勝分ぐらいの効果がある」とも期待を寄せられ、6回100球の力投で応えた。

 以来、開幕投手に強くこだわってきた。藤浪晋太郎が“対抗馬”として台頭してきた15年春には「ボクがこの国を去るまで待ってなさい。(日本から)帰ったらどうぞ。自分が投げるべき、自分であるべきだと思う」と公言したほどだ。金本知憲、矢野燿大と監督が替わっても、開幕投手だけは不動だった。

 15~19年の5年連続は井川慶と並び、通算6度は小山正明、江夏豊と並ぶ球団記録。外国人に限ればスタンカ(南海)とミンチー(広島、ロッテ)の3度を超えてプロ野球最多になった。現役最終年だった昨季もヤクルトとの開幕戦を任されて7回1失点。右肩不調で秋に引退を決めた。本来の球を投げられず、潔く決断。最後までサムライだった。=敬称略=

 〇…加入1年目で虎デビュー戦だった福留孝介は「5番・右翼」で出場し、1安打2打点で貢献した。先制した初回は後続の1死一、三塁から遊ゴロで2点目を挙げ、5回2死一、二塁では中前適時打を放った。「自分では何にも意識しないけど、1打席目が終わったときは異常な汗をかくんだよ。1年で一番疲れる試合だね」。過去21年で開幕戦は日米通算で打率・346、5本塁打、18打点の“開幕男”だ。

 ▽2013年の世相 ローマ教皇ベネディクト16世が異例の生前辞任(2月)、長嶋茂雄、松井秀喜に国民栄誉賞(5月)、富士山が世界文化遺産に登録される(6月)、2020年夏季オリンピック開催地が東京に決定(9月)、楽天・田中将大がシーズン24勝無敗(10月)【流行語】「今でしょ!」「お・も・て・な・し」「じぇじぇじぇ」「倍返し」【漢字】輪

続きを表示

2020年4月13日のニュース