5年前のNYでの“伝説の一戦”死闘思い出し…身に染みる野球がある日常の尊さ

[ 2020年4月13日 09:00 ]

2015年4月10日のヤンキース―レッドソックス戦は史上最長のロングゲームに。ヤンキース・田中はベンチで頬づえをつく
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 新型コロナウイルスの死者が2万人を超えた米国で、最大の危機に陥っているのがニューヨークだ。5年前の15年4月10日、正確に記せば試合終了は同11日の午前2時13分。ニューヨークで、人生で最も長い野球の試合を見た。日本時間でいえばこの原稿を書いているのと同じ、4月12日だ。

 ヤンキースタジアムでのヤンキース―レッドソックス戦。伝統の一戦は死闘になった。0―3からヤ軍は6回に1点差とすると、9回2死からヘドリーのソロで同点。延長戦に突入した。延長16回にレ軍がオルティスのソロで勝ち越したが、その裏にヤ軍はテシェイラが同点ソロ。延長18回も両軍が1点ずつ挙げてまだ試合は終わらない。延長19回、レ軍がベッツの中犠飛で勝ち越し。このカードとしては史上最長の6時間49分(照明トラブルでの16分間の中断も含めると7時間5分)というロングゲームだった。

 当時、レ軍だった田沢が8回に1イニングを無失点。「(登板が)結構、前の話なので覚えていないというか…」と言う程だった。メジャー2年目の田中もベンチで完走。当時、ヤ軍のジョー・ジラルディ監督が「1試合だけど、6試合くらいに感じた」と言ったのが印象的だった。延長無制限のメジャーリーグでも、さすがに19回は数年に1度。球場を出たのが午前3時を回っていたことを思い出す。

 今となっては、野球がある日常の尊さが身に染みる。試合が長かろうと、なんだろうと。新型コロナウイルスによって、ニューヨークはまさに非常事態。数週間後、東京もそうなる可能性は否定できない。感染拡大を防ぐために、あと何日、何週間…。すべての人が、不安なく過ごすことができる状況がつくられれば、耐えられる時間の長さも変わってくる。(記者コラム・春川 英樹)

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2020年4月13日のニュース