大船渡163キロ腕・佐々木はロッテ! プロで挑む165キロ大谷超え

[ 2019年10月17日 17:36 ]

プロ野球ドラフト会議 ( 2019年10月17日 )

大船渡・佐々木朗希投手
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 プロ野球のドラフト会議は17日に東京都内で開催され、最大の目玉である高校史上最速163キロ右腕の大船渡・佐々木朗希投手(17)を日本ハム、ロッテ、楽天、西武の4球団が重複指名。ロッテが交渉権を獲得した。 ドラフト速報

 令和の怪物は早い時期から「国内プロ」を打ち出してきた。今年4月に「国内でプロ一本です」と明言後、決勝で投げずに敗れた夏の岩手大会や5位に終わったU18W杯を経て、母・陽子さんや国保陽平監督らとの話し合いを通じて熟考する機会もあった。それでも「1年生の冬からプロを考えていた。揺れたことはなかった」と信念を貫いた。メジャーも注目していたが「今はメジャーについてあまり考えられない。まずは日本で頑張りたい」と言い、「12球団どこでも頑張りたいと思います」と、どの球団から指名を受けてもプロ入りする意向を明かしていた。

 4月に花巻東(岩手)時代の大谷(現エンゼルス)を超える163キロを計測。一気に注目度が増したが、5月に骨密度の測定を行い、まだ163キロに常時耐えうる体ではないという判断から剛球を封印。国保監督と話し合い、あえて球速を抑える投球技術を磨いてきた。「(163キロは)1回でも出せば自分の記録として残るので、自分の投球に集中できるようになった」と冷静に自己分析。大谷の持つ日本人最速165キロについて「あと2キロは高い壁だと思う。でも、自分の体と向き合い、トレーニングしていけばいつか出ると思う」。それは目指すレベルの高さをうかがわせる言葉だった。

 そんな高校最速右腕の素質を最初に見抜いたのは、亡き父・功太さんだった。11年の東日本大震災で37歳の若さで他界した父は、生前「朗希は凄いよ」とうれしそうに話していたという。兄・琉希さんと投手、打者で対決する姿に、捕手を務めた父は「3つ上の兄とも普通に勝負ができるのは凄い。将来はプロになれると思う」と予見したそうだ。母・陽子さんはこの夏「最初はただの親バカだと思っていました」と振り返りながら「本当にプロになれそうな、今の姿を見せてあげたかった」とも続けた。功太さんが思い描いた姿はもうすぐ実現する。

 日本中が注目した今夏の岩手大会。盛岡四との4回戦で、花巻東時代の大谷に並ぶ公式戦高校最速の160キロをマークし、延長12回を毎回の21奪三振、自ら決勝弾という圧巻のパフォーマンスを見せた。そして花巻東との決勝で登板回避。国保監督は「故障防止」を理由に挙げ、チームは夢の甲子園目前に敗れた。大きな論争に発展した登板回避の論議は今も続く。ただ、それで佐々木の評価が下がることはなかった。

 U18ワールドカップに出場した高校日本代表では甲子園準優勝右腕の星稜・奥川らとチームメートになり刺激を受けた。10月2日にプロ志望を表明。プロでの目標を問われると「タイトルがあるので全て獲れるようなピッチャーになりたい」と力強く宣言した。

 11年の東日本大震災で被災した岩手県陸前高田市出身で、高校も大船渡に進学した。地元への思いは強い。「被災したときに、たくさんの方に支援していただいたので、その恩返しができたら。地元の期待にも応えて精いっぱいプレーしていきたい」。岩手出身の「令和の怪物」がプロの世界で輝く。

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