【市川いずみの届け夏エール】花巻東・田中響太君、昨秋じん帯断裂の大けが 最後の夏は仲間をサポート

[ 2019年8月10日 05:00 ]

右翼でボールボーイをする花巻東・田中響太(撮影・木村 揚輔)
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 聖地のファウルゾーンで高校野球生活を終えた花巻東・田中響太君。同じ左腕の菊池雄星投手に憧れ佐々木洋監督の指導を仰ぎたいと入学しました。昨秋に右足首のじん帯を断裂する大けが。それでも、6月の東北大会で初めて背番号を貰いました。

 でも、喜びは束の間でした。「これが最後。思い切って投げてこい」。試合前日の指揮官から、そう告げられました。1番仲良しの西舘君に悔しさを漏らすと、普段は静かなエースが「俺が甲子園に連れていく」と力強く誓ってくれました。翌日、田中君は先発し2回途中2失点で降板。最初で最後の公式戦は短く苦いマウンドとなりました。

 「怪我のせいじゃない」。潔く実力不足を認められる17歳です。最後の夏は打撃投手としてサポート。岩手大会優勝後、西舘君が胸から外したメダルをかけてくれました。外野のボールボーイとしてみつめた鳴門戦。西舘君は6失点しましたが「頼もしかった。西舘がいたから甲子園に来られた」と感謝の気持ちがあふれ出ました。

 進学して野球を続ける予定。“逆転の花巻東”で培った諦めない心で、次の舞台で花を咲かせてくれるはずです。

 ◆市川 いずみ 京都府出身のフリーアナウンサー。山口朝日放送時代に高校野球の実況で「ANNアナウンサー賞最優秀新人賞」を受賞。高校野球検定に合格し、自宅に甲子園の土を飾るほど生粋の高校野球好き。

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2019年8月10日のニュース