イチ28年目開幕戦 “相棒”製作クラフトマン語る思い「ヒットは確定概念」

[ 2019年3月20日 05:30 ]

メジャーリーグ開幕戦   マリナーズ―アスレチックス ( 2019年3月20日    東京ドーム )

原木を削りバットを製作する名和民夫クラフトマン
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 20日のアスレチックスとの開幕戦(東京ドーム)でメジャー登録され、スタメンで日米通算28年目のシーズンを迎えるイチロー。日米通算4367安打のレジェンドのバットを手掛ける、ミズノテクニクスの名和民夫クラフトマン(52)がスポニチ本紙の取材に応じ、イチローへの思いを語った。

 久保田五十一(いそかず)名人から07年オフ、イチローの担当を引き継いだ名和氏。10年連続200安打(10年)、メジャー通算3000安打(16年)など幾多の偉業を自身製作のバットが刻んだ。

 イチローは今年初めてマイナー契約となり、24打席連続無安打で日本開幕戦を迎える。しかし、名和氏は目を見開いてこう言った。

 「スタメンで出てヒットを打って、というのは、私の中では“確定概念”です」

 プロ1年目、92年のオフに「篠塚和典モデル」を基に製作した。以来ずっと同じ形で27シーズン目を迎える。しかし木は一本一本異なり、材質を日々探求。オフの自主トレ先に足を運び、練習を見て、意見を交換する。

 多くの場合、イチローは「高い音」が出る材質を好む。「比重が重く、中の密度がギュッと締まったバット」が高い音を出すという。ヘッドの直径60・5ミリは名和氏が今まで手がけた約1万人のバットの中で最も細い。その細さが、唯一無二の高い操作性を生む。

 07年にイチローに掛けられた言葉は「相当の覚悟を持って臨んでください」。イチロー、松井秀喜らを担当し「もっと真摯(しんし)に取り組まないといけない」と製作前のルーティンを確立した。午前4時半起床で30分間のストレッチからスタート。「木と“対戦”するまでに全ての状況を自分の中に入れておく」と一日の作業のシミュレーションを8時20分の始業前に済ませる。本人は「おこがましい」というが、完璧な準備は4367安打のレジェンドと重なる。

 「イチロー選手が最高のパフォーマンスをしていただける用意をさせていただく」

 希代の「打撃職人」を支えるバット職人。2人とも4368本目を、そしてその先を見据えている。(大林 幹雄)

 ◆名和 民夫(なわ・たみお)1967年(昭42)2月28日生まれ、岐阜県大垣市出身の52歳。85年ミズノテクニクス入社。ゴルフクラブの製造担当などを経て、93年からバット製作に関わる。これまで担当した選手は約1万人、作ったバットは通算約20万本。現在はセ・リーグと大リーグの選手の合計約100人を担当している。

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