“輝くのなら殺されても…”どこまでも深い日本ハム・栗山監督の主将中田への思い

[ 2018年5月21日 11:00 ]

清宮(右から2人目)らとベンチでガッツポーズする日本ハム主将の中田(左)
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 取材中にメモを取っていると、思わずペンが止まりそうになる瞬間がある。それは相手から普段は聞き慣れない言葉を聞いた時。例えば「俺のことを“殺したい”と思ってくれていい。それで輝いてくれるなら」。日本ハム・栗山英樹監督(57)がある選手への思いを問われて発した言葉だ。

 ある選手とは12年の監督就任から能力に惚れ込み、主に4番で使い続けている中田翔のことだ。16年には自身最多の110打点で日本一に貢献も、昨年はレギュラー定着後の11年以降では自身ワーストとなる打率・216、16本塁打、67打点。「三冠王が取れる能力がある」と信じる栗山監督は何度も本人と話し合い、1番や3番で起用するなど試行錯誤を続けた。結局、中田と同様、日本一連覇を狙ったチームも5位に低迷。それでも指揮官は「翔とはいろいろな話をしたし、嫌なことも言い続けた。必ず将来に生きると信じてやる」と前向きに話していた。

 昨年オフ、栗山監督は誰もが思わなかった「仰天プラン」を実現させた。中田にとって「人生初」となる主将任命だ。言葉で周囲を引っ張るタイプではないが、グラウンドではどんな状況でも全力でプレー。敗色濃厚な点差で平凡な内野ゴロを放っても一塁まで全力疾走する。その姿を見てナインも乗る。開幕からここまで、間違いなくチームの中心に中田がいる。

 象徴的な試合は今月15日の首位・西武戦(東京ドーム)だ。中田は0―0で迎えた7回の一塁守備で、4番の山川が一塁ベンチ前のファウルゾーンに打ち上げた小飛球へ猛然とダッシュ。ダイビングして地面すれすれで好捕した。チームは直後の攻撃で2点を奪い、そのまま2―0で勝利。打撃は4打数無安打でも守備でナインを鼓舞した。

 常々、栗山監督は「(中田)翔が翔らしくならないと、このチームは強くならない」と言う。昨季までチームに所属していた大谷(現エンゼルス)やドラフト1位で入団した清宮に比べると関係性がクローズアップされる機会は少ないが、指揮官の中田への愛は深い。(記者コラム・山田 忠範)

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