阪神 秋山 2年連続チーム完投一番乗りも「詰めが甘いなと 僕らしいかなと」

[ 2018年5月2日 05:30 ]

せ・リーグ   阪神7―1DeNA ( 2018年5月1日    甲子園 )

1失点完投勝利を飾った阪神・秋山
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 阪神・秋山拓巳投手(27)が1日のDeNA戦で9回1失点9奪三振の快投を見せて2勝目を挙げた。チーム完投一番乗りは2年連続。9連戦の4戦目で救援陣を休ませ、勝率5割復帰へ導いた。打撃でも4回に8年ぶり適時打。頼れる大黒柱としてワンマンショーを演じた。「ウル虎の夏」イベントで着用する黄色いユニホームを先行披露し、5月戦線を白星で発進した。

 雄たけびとともに苦悩は消え去った。5回2死三塁で迎えた柴田に投じた4球目。内角146キロ直球で見逃し三振に斬った秋山は右拳を握って吠えた。今季最速の147キロを計測し、9三振のうち実に6個を直球で奪った。つかんでいた「手応え」が、ようやく白球に乗り移った瞬間だった。

 新球でも、変化球の精度でもない。12勝を挙げた昨季から伸びしろを求めたのは「直球」だった。春季キャンプから重点を置いて腕を振った。「直球を投げすぎて、疲労で数を投げられなかった」と目標だった月間1300球に届かないほど力を込めていた。

 いつしか顔の日焼けとともに右手には昨年まで人さし指にしかなかったマメが中指にできていた。「中指でも、しっかりとボールを押し込めているっていうことかなと」。自信を胸に今季に臨んだはずだった。

 だが、マウンドに上がっても直球の感覚だけが良化しなかった。開幕から3試合連続でクオリティー・スタートを記録しても「腕が振れるようになった」というフォークを筆頭に変化球を駆使できたことが大きい。「直球が全然ダメで…。思ったところに、ほとんど行ってなくて。いつ上がってくるのかと思うぐらいです…」。さえない表情は伸び悩む白星だけのことでは決してなかった。

 雨でローテが再編された影響で生まれた前回登板から中9日の調整期間が転機になった。「前回登板からの準備で真っすぐの修正に取り組んで、いい球がいっていた。試合の中で軸として使えたのが1人で投げ切れた要因」。ここまで投球を支えた新球「パワーカーブ」を脇役に追いやるように直球主体の投球でDeNA打線を真っ向から叩き斬った。

 「詰めが甘いなと。僕らしいかなと」。9回に失点し、10年以来2788日ぶりの完封を逃し、お立ち台では苦笑いを浮かべた。4月26日が27歳の誕生日。「いいスタートが切れたと思う。ここからどんどん勝っていきたいと思う」。もう不安はない。年を一つ重ね、会心の笑顔が広がった。(遠藤 礼)



 ○…秋山(神)が6安打完投で2勝目。9回に失点して高卒1年目だった10年9月12日ヤクルト戦以来2788日ぶりの完封は逃したが、その時以来となる2度目の無四死球完投を飾った。また、阪神としても完投は今季初。昨季のチーム初完投も5月16日中日戦の秋山だった。

 ○…打撃でも4回に左前適時打。打点は17年9月7日広島戦で三ゴロの間に挙げて以来、適時打は前記10年ヤクルト戦の7回2死三塁から左安打して以来8年ぶり2本目。

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