大谷 幻惑カーブで3週間ぶり2勝目“連勝ストッパー”返上

[ 2016年5月23日 05:30 ]

<日・楽>日本ハム先発・大谷

パ・リーグ 日本ハム8-0楽天

(5月22日 札幌D)
 日本ハム・大谷翔平投手(21)が「勝つ」力を取り戻した。22日の楽天戦で6回を3安打で零封し、1日ロッテ戦(QVCマリン)以来3週間ぶりの今季2勝目を挙げた。カーブを多投して相手打線を幻惑。6奪三振は今季最少ながら今季初の無失点投球を演じた。「連勝ストッパー」はもうご免。チームを3連勝、今季最多貯金4に導く好投だった。

 浮き上がるような軌道を描き、縦に鋭く落ちた。大谷のカーブ。楽天打線を迷わせ、翻弄(ほんろう)し3週間ぶりの白星への道筋をつくった。「スライダーの変化量が大きくなかった。どちらかというとカーブの方が空振りやカウントが取れた」

 初回1死一塁。銀次への決め球に、この日初めてカーブを投じ空振り三振を奪った。「1球使ってまずまず良いイメージができた」。3―0の3回2死二塁では聖沢を迎え、この日最速の160キロでファウルを取ると、最後はカーブでバットに空を斬らせた。5回も藤田からカーブで空振り三振を奪うなど、6回を投げ3安打無失点。96球中、カーブは全体の14・6%を占める14球を数えた。前回15日の西武戦(札幌ドーム)の5・3%、3月25日の開幕ロッテ戦(QVCマリン)の2・9%を大幅に上回り、的を絞らせなかった。

 なぜカーブを多く投げたか。大谷は「(直球、フォークなど)決め球がしっかりしている投手は初球からいきたくなるのが打者心理。全体的に逆方向に打とうという気持ちも見えた」と狙いを説明する。21日の同戦での先発・メンドーサに対して「早打ち」だった傾向もつかんでいた。勝ち星から遠ざかっても、冷静さは失わない。直球とフォークを持ち味とする自身の特徴を分析し、打者を鋭く観察した。栗山監督も「あのカーブを使って、フォームのバランスが良かった。こういう内容で次につながる」と大きくうなずいた。

 余力のある6回で降板。栗山監督は「今日に関しては“飛ばしてくれ。100球前後で代えるよ”と(投手)コーチに伝えていた」と説明した。今季、チームの連勝を受けて臨んだ過去4試合の登板で全敗(うち2敗は増井が敗戦投手)。エースとして長い回を投げることも大事だが今は白星を積み重ねることが先決だ。今季は5試合連続本塁打を記録した打者で輝きを放つが、開幕投手が勝っていかなければチームの上昇はない。

 5カード連続勝ち越し最多の貯金4に導いた大谷は言った。「球数的にはもう1イニングくらいいけたけど、これまでの投球内容を見ればそうなる。もっと良くなれば(残りの)2、3回と投げられる」。連勝ストッパーは返上する。「投手・大谷」はここから巻き返す。(柳原 直之)

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2016年5月23日のニュース