イチ「1番」打てる喜び 4の4で3000安打再び射程

[ 2016年5月23日 05:30 ]

ナショナルズ戦の8回、今季初の1試合4安打となる左中間二塁打を放つマーリンズのイチロー

ナ・リーグ マーリンズ3―2ナショナルズ

(5月21日 マイアミ)
 マーリンズのイチロー外野手(42)が21日(日本時間22日)、ナショナルズ戦に「1番・左翼」で12試合ぶりに先発出場し、今季初の4安打をマークした。ESPNによると、42歳以上の凡打なしでの1試合4安打以上は、1934年に2度記録したサム・ライス(インディアンス)、メジャー最多安打記録保持者で86年に記録したピート・ローズ(レッズ)以来3人目。30年ぶりの快挙達成で健在ぶりを示した。

 また一つ、大記録を打ち立てた。イチローが昨年8月18日のブルワーズ戦以来、メジャー通算52度目となる1試合4安打の固め打ち。42歳以上の4打数4安打以上は、86年のピート・ローズ以来30年ぶりだ。その前は34年のサム・ライスまで82年もさかのぼるメジャー史上3人目の快挙。「気持ちよかったか?」と試合後に問われると「もちろん。久しぶりに野球をやった感じがします」と充実感をにじませた。

 当初発表された先発表にイチローの名前はなかった。左翼で先発予定だったイエリチが腰の張りを訴え、先発出場が告げられたのは試合開始2時間半前。「突然来た」と振り返ったが、そこは百戦錬磨の42歳。「まあでも、いろんな経験をしていますから。どうってことないです」と笑い飛ばし、華麗なるヒットショーを繰り広げた。

 初回と3回はいずれも速球に振り負けずに中前と左前に打ち分けた。1点を追う5回にはスライダーを左前打。足で重圧をかけてけん制悪送球を誘い、一塁から一気に三塁へ進塁して、プラードの同点打を演出した。まだ終わらない。8回に左中間二塁打を放つと、地元ファンは総立ちとなった。6回の四球を含め全5打席で出塁。負ければ貯金ゼロとなる試合で存在感を発揮した。

 1番として今季5度目の先発だが、通算20打数10安打で打率は驚異の5割。イエリチの状態次第だが、当面は1番として先発出場が続くことが濃厚だ。守備に就いたのは5月8日のフィリーズ戦以来だった。2日前の休日には球場まで足を運んで1人で練習した。事前の準備を怠らないからこそ、あらゆる状況に対応できる。ドン・マッティングリー監督は「イチはいつも出番を早く知りたがる。これからはぎりぎりまで伝えないようにしようかな」と上機嫌だった。

 メジャー通算3000安打まで残り46本。再び今季中の大台到達ペースに乗った。ローズが持つメジャー歴代最多4256安打には、日米通算で残り24本だ。大記録達成への機運が高まる中、イチローは周囲の期待に応え続ける。

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2016年5月23日のニュース