山田 2発!単独トップ14号 “神風”吹かせた、最下位危機救う

[ 2016年5月21日 05:30 ]

<ヤ・D>8回無死、山田が左越えに勝ち越しホームランを放つ

セ・リーグ ヤクルト6―3DeNA

(5月20日 神宮)
 単独キング弾で決めた。ヤクルトの山田哲人内野手(23)が20日、DeNA戦の8回にリーグ単独トップに立つ決勝の左越え14号ソロを放った。2点を追う4回に反撃の口火を切る左中間13号ソロ。10試合ぶりの一発で勢いに乗ると、今季2度目のマルチ本塁打で勝負を決め、負ければ最下位転落の危機を救った。中日・ビシエドらとの本塁打王争い。ともに2年連続となる本塁打王、トリプルスリーどころか、史上初の40本塁打、40盗塁も夢ではない。

 井納のフォーク攻めに耐えた。同点の8回。山田は1ボールから2度の空振りの後、ファウルした。そしてボール。5球続いたフォークは真ん中への失投となり、すくい上げた。打球は本塁から左翼に吹く風にも乗った。左翼席最前列へ飛び込む決勝の14号ソロだ。

 「入ると思わなかった。(バットの)先っぽだったので。(神宮に集まった)ファンの声援のおかげで伸びたと思う」。山田はお立ち台で感謝し、真中監督も「神宮の風が助けてくれた」と喜んだが、「神風」を吹かせるのも実力のうちだ。

 名誉挽回どころか、おつりが出るほどの活躍だ。2回無死一塁。倉本の投ゴロで二塁のベースカバーに入ったが併殺を焦り、成瀬の送球をグラブに入れた後に落とした。今季46試合目での初失策で一、二塁にピンチが広がり、先制点を許した。「成瀬さんにもチームにも申し訳ない。守れなければ打つしかない」

 2点を追う4回、左中間席中段へ13号ソロ。10試合ぶりの一発にも笑顔はなかった。1点を追う5回1死満塁では遊ゴロの間に同点に追いついたが、悔しさをにじませた。そして8回の決勝アーチ。試合後、ようやく満面の笑みをこぼした。

 4月26日。神宮の室内練習場で、杉村チーフ打撃コーチと5分間以上話し込んだ。一流打者になる「3カ年計画」の見直しで、新たな未来設計を促された。「3年計画は今年で終わるけど、あと2年同じような結果を残し続けよう」。1年目の14年は右打者最多のシーズン193安打。2年目の昨季はトリプルスリーを達成した。最終年の今季は2年連続のトリプルスリーが目標だが、それが4年連続と伸びるわけだ。集中力の維持が難しいが、同コーチは「とんでもないことだが、あいつならできる。40本塁打もできるし、40盗塁もできる。スターじゃない。スーパースターになれる」と太鼓判を押した。

 46試合で打率・329、14本塁打、12盗塁。苦手の春先から数字を残している。順風満帆に見えるが、重圧もあり「人生楽しいことは少ない。苦ばっかですよ」と漏らす時もあった。就寝前にiPad(アイパッド)でアニメ「NARUTO―ナルト―」を観賞するのが「唯一の楽しみ」。息抜きも好調を維持するための大切な時間だ。

 最下位転落の危機も救った3番打者は、個人記録には興味を示さない。「(本塁打王争いは)まだまだ試合数も残っている。勘違いしないように頑張りたい」。チームをここから上昇気流に乗せる。 (平尾 類)

 ≪通算10度の複数本塁打は全て神宮≫山田(ヤ)が1日の巨人戦以来、今季2度目の1試合2本塁打。1試合複数本塁打は通算10度目で、全て本拠地の神宮でマークしている。井納からはこれで通算4本となり大野(中)、石田(D)と並び投手別で最多となった。

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