とにかく元気な東大を支える「食トレ」 大学野球知る早大OBの恩返し

[ 2016年5月21日 10:50 ]

東大の宮台

 久々に「強い東大」が、東京六大学野球を盛り上げている。明大戦の連敗を47で止める12年ぶりの勝利や、7日の立大戦では左腕・宮台がチームでは11年ぶりの完封勝利。14年ぶりの勝ち点こそ奪ってはいないが、とにかく元気だ。

 浜田一志監督の進めるチーム強化策の一つが「食トレ」だという。オフに5000キロカロリーの摂取をノルマに掲げるなど、プレーの土台である肉体改造は徐々に結果につながっているようだ。赤門軍団の胃袋を鍛えているのは居酒屋「築地魚一」など国内6店、海外にも店を構える飲食業「サードプレイス」を経営する岡山浩之氏(41)。浜田監督からの要請で今年3月から、東大野球部合宿所の食事を任されている。

 飲食店経営のノウハウと経験をもとに「やるならば徹底的に」と東大の強化に時間と労力を割いている。「できうる限り、素材もいいものを出したいし、部員たちにいいものを提供したい」。決して潤沢ではない東大野球部の予算。食材にこだわるには人件費を削るしかない。経営する店舗を信頼する従業員に任せながら、平日の朝夕食、休日は昼食も加えたメニュー決定から仕込みまで、1人でまかなっている。夕食後に取りかかる朝食の仕込みは深夜に及ぶが「部員達のために」とこちらも全力投球だ。

 実は岡山氏は早実、早大の野球部OB。大学時代は外野手としてリーグ戦でも活躍した左の好打者だった。「自分も学生時代に寮で生活して経験して分かることがある。大学をはじめとしたアスリート向けの合宿所の食事は、大手では手の届かないところがある」。5000キロカロリー摂取を目指したオフの「体力作り」メニューから、リーグ戦期間は「集中力増加」メニュー、「疲労回復」メニューを学生のコンディションを見極めながら、提供することを心がけている。

 早大OBながら他大学の支援を行う思いは一つだ。「僕は早稲田はもちろん、東京六大学野球でお世話になった。その時の恩返しをしたいという気持ちだけ」。学生時代にプレーさせてもらった感謝の気持ち。「もちろん、早稲田と試合の時は複雑な気持ちだけど…」と言うが、東大が強くなり、リーグ全体が盛り上がることは岡山氏の言葉通り恩返しのひとつの形だと思う。

 岡山、頑張れ!記者にとっては大切な早大野球部の同期。彼の思いがさらなる東大野球部の躍進と、東京六大学リーグの盛り上がりにつながることを楽しみにしている。(記者コラム・春川 英樹)

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2016年5月21日のニュース